洞爺湖「リゾートホテルの怪」

冬の洞爺湖は、氷点下の寒さと共に、静寂に包まれます。そんな寒々とした夜に、洞爺湖の高級リゾートホテルは、あるビジネスマンの一行を迎えました。その中の一人、ケンジは、部屋の異常な寒さに気付き、暖房を上げました。しかし、暖房を上げても寒さは一向に和らぎません。


夜が更けるにつれ、ケンジは部屋の窓から、湖面に浮かぶ奇怪な光を見つけました。それはまるで、湖底から何かが浮かび上がってくるような、怪しい輝きでした。好奇心に駆られたケンジは、バルコニーに出てその光を確認しようとしました。


その時、突然部屋のドアがノックされました。だが、ケンジは誰もこの時間に訪ねてくるはずがないと考え、無視しました。しかし、ノックは次第に激しくなり、まるで何かが部屋に入りたいと訴えているかのようでした。最終的に、ケンジは恐る恐るドアを開けました。


そこに立っていたのは、全身が水に濡れた、顔に表情のない男でした。「私たちの宴に参加してくれないか?」と彼は言いました。ケンジは逃げようとしましたが、男は強引に彼の手を握り、ホテルの廊下を引きずりました。


ケンジは、ホテルの最上階の大宴会場に連れて行かれました。そこには、水底から引き上げられたかのような、青白い顔をした人々が集まっていました。彼らは無表情で、しかし、どこか楽しげに踊り、食事をしていました。ケンジは恐怖に駆られながらも、その光景に引き込まれ、最後には彼もその宴に参加させられました。


突然、宴会場の窓が開き、氷点下の風が吹き込んできました。すると、洞爺湖の底から、無数の手が伸びてきて、宴会場の参加者を一斉に湖底へと引きずり込もうとしました。ケンジは必死で逃げようとしましたが、彼もまたその手に捕まえられ、湖底へと引きずり込まれました。


次の朝、ホテルスタッフがケンジの部屋を訪れた時、彼の姿はどこにも見当たりませんでした。ただ、彼の部屋のバルコニーからは、氷の下に閉じ込められたかのように、ケンジの足跡だけが残っていました。


以来、そのホテルでは、毎年冬になると、湖面から不思議な光が見え、宴会場からは奇怪な笑い声が聞こえるとされています。ホテルはその怪異を隠すため、冬季には最上階へのアクセスを制限し、訪れる客にはその話を絶対にしないよう命じています。

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