聡明なる聖女・女司祭長エリスティア。お腹にぜい肉がついてしまう
『長期休暇』という名の、無駄に過ごす時間がついに訪れた。
聖なる女司祭長、エリスティアは、普段の厳格さを忘れ、久しぶりに心の底からリラックスしたかった。
長い間続いた祈りと神聖な任務から解放され、ついに手にした「長期休暇」という自由の時間。
その時間を、彼女は無駄にしようとは思わなかった。
だから、強い意志で食べ、寝、そして無駄に思える程、のんびりと過ごした。
ステンドグラスの窓のある部屋は淡い光に包まれており、リラクゼーション空間と化している。
エリスティアはふかふかソファに横たわり、がに股で青い横縞のショーツ一枚という女司祭長らしからぬ気の抜けた姿をさらしていた。
宅配ピザとごっつ盛りラーメンを食べ、魔術配信のテレビを見ながら無駄に長くくつろいでいた。
そして、あまりにリラックスし過ぎて、その小さな腹に溜まったぜい肉の存在をすっかり忘れていた。
日頃は神聖さを保ち、精神の鍛錬を欠かさなかったが、この休暇の間だけは心地よい怠惰、簡単に言えば『ぐうたら』に身を任せていたのだ。
その時、突然、ドアをノックする音が響いた。
「エリスティア様、少しお話ししたくて参りました」
扉の向こうから聞こえる声は、彼女の配下である若き男性司祭、アルヴァ。
普段は厳格で真面目なエリスティアだが、この瞬間ばかりはその姿勢を崩していた。
アルヴァに会う準備なんて、何もできていなかった。
(面倒くさ……)
どうしても立ち上がりたくなくて、もう少しだけこのままでいようと心の中で決めた。
だが、アルヴァの声が再び響いた。
「エリスティア様? いらっしゃいますよね?」
(なっ! しつこい奴め)
仕方なく、エリスティアは急いでベッドから起き上がり、青い縞模様のショーツを引き締めようとした。
しかし、その瞬間、ショーツに反抗したのは腹部の膨らみだった。
食べ過ぎたのだろうか、特に意識していなかったが、そのお腹はぷよぷよとした感じで膨らんでいる。
「あわわわっ、ちょっと、少しだけ、隠さなくちゃ」
しかし、すでに遅かった。アルヴァのノックが再び響いた。
「すみません、少し失礼します」
アルヴァはエリスティアが準備を整える前に、勝手に扉を開けて入ってきた。
その瞬間、エリスティアの目は完全に驚き、そして彼女の顔は瞬時に真っ赤に染まった。
いつも盛って豊満にしているが、実はBカップの胸は現在ノーブラ。
更にまったく威厳のない青い縞模様のショーツ一枚の姿を、アルヴァの目に晒してしまったからだ。
しかし、彼の視線がどこに向かうか、エリスティアはすぐに気づいた。
「うわっ、エリスティア様……えっ?そのお腹?」
アルヴァの目は、彼女のたいしたことない胸や威厳の欠片もない青縞ショーツには一切注がれず、何よりもその腹部の膨らみにばかり目を奪われている。腹部に程よく乗ったぜい肉に、アルヴァは笑いをこらえきれないようだった。
「ぷははっ、す、すみません、エリスティア様、そのお腹、ぷっ、はははははは」
エリスティアは冷や汗をかくような気持で一杯だ。
何とか恥ずかしさを隠し、彼女は慌てて体を隠そうとする。だが、腹部に余計に力が入ると、その肉がさらに強調されるだけだった。
「アルヴァ、どうして、そんなに笑うんですか?」
彼女は声を震わせ、何とか冷静を保とうとする。
「す、すみません、エリスティア様、でも……そのお腹、やっぱ我慢できません、ぷふふふ」
アルヴァのその一言が、エリスティアの中で震えを生む。
どこか切ない気持ちが、無力感として胸に広がる。普段の厳格さが、こんなにも脆く感じられる瞬間。
どれだけ必死に隠そうとしても、すでに遅い。
「もう! そんなに見ないでください!」
その言葉が、少しだけ強い調子で口から漏れた。しかし、アルヴァは笑いをこらえつつ、言葉を続けた。
「す、すみません、ただ……エリスティア様はいつも強いお方で、こんな姿を見るのはちょっと驚きました」
その言葉に、エリスティアはもう何も言えなかった。股間も腹も胸も隠せず、無言のまま両手で顔を隠すしかなかった。
「まずは服をお召しになってください」
やがて、アルヴァが深刻な相談をして部屋を後にするまで、静かな時間が流れた。エリスティアはベッドに腰掛け、手を腹部に当てながら、しばらく無言で静まっていた。
「これも、休暇の一部なのかもしれない……」
彼女はそう呟くと、再び何もせずにぐうたらな時間を過ごすのだった。
【ぽっこりと】素敵な貴女のお腹にぜい肉が!?【ぜい肉シリーズ】 月詠 透音(つくよみ とーね) @insyde
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