無骨者
花沫雪月🌸❄🌒
無骨者
去っていく彼に「行くのかい?」と私が問えば「あぁ」とごく短い返事があった。
相変わらずだなぁとそう思った。彼はいつも無愛想だし表情も変わらない。
「きっと死んでしまうよ」
「あぁ」
分かりきったことだと彼は振り向きもせずにまた一言だけ返す。ゆっくりとゆっくりと彼との距離が空く。
「もしもの時は私を呼んでよ、皆をつれてくよ」
「無用だ」
少し声を大きくして気遣ってみてもバッサリと切り捨てられる。本当に気遣いのしがいがない奴だと思った。
遠ざかる背中に届くようにもう一言だけ。私はきっと別れの言葉になるだろうと精一杯に声を張り上げた。
「骨は拾ってあげるから!!」
彼は立ち止まった。
ジッと動かずに何か考えているようだった。
そうして少し間が空いた後こう返してきた。
「それは無理な話だな!」
彼にしては珍しく少しおかしそうな声音だった。
私も少し考えてそれが何故か気づいた。彼なりの洒落なのだろう。
「それもそうだね!」
去っていく背中に私は笑いながら声をかけたがもう返事は無かった。
小さく「バイバイ」と呟いて私は草むらを仲間を探して回ることにした。
∨ ∨ ∨
「スライム一匹だけ?」
「そうみたい」
「経験値の足しにもならないなぁ」
無骨者 花沫雪月🌸❄🌒 @Yutuki4324
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