第12話 阿久比町ダンジョン防衛戦 (別視点)
Side 小白
大青に軽くお願いされてしまいましたがどうやってダンジョンマスターを捕獲しておきましょうか。
ダンジョンマスターを殺すとコアの元に帰るので攻略中に邪魔されないようにするという捕獲する意図はわかるのですが、いかんせん捕獲に向いているモンスターがいないんですよね。
指示にあったようにスライムとオークの配置をするんですがこれも配置する場所も悩むんですよね。
多分ですが大青が想定していたのは一層に全員放って接敵したらモンスターを集めての襲撃だと思うのですが、指示されたモンスターの数では一層全域をカバーしきれないのでどこかに集めておいた方が良いと思ってます。
ダンジョン内にさえいればどの階層どの位置にもモンスターを配置することはできるので数か所地点を決めておいてそこにダンジョンマスターが近づいた時点でオークの襲撃をするようにしましょうか。
大青はあまり気にしておりませんでしたがランクの差による個体の強さの差は相当なものがあるのでオークだけでも蹴散らすことはできると思っています。
しかし相手のダンジョンにダンジョンマスターを返さないようにしなければなりません。
蹴散らすだけではだめなのです。
大青が考えているであろう捕獲の理由は分かりますし、それであれば足止めしておくだけでもいい気がしてきました。
これは私だけで進めてしまっても問題ない気がしますが一応、大青に確認を取っておきましょうか。
これでダンジョンマスターの意にそぐなわい行為をしてしまえば大問題になりかねませんから。
「大青、一つだけ確認させてください」
“はいはい、なんでしょうか。”
「今回は驚かないのですね」
“そりゃ、毎回びっくりするわけにはいかないでしょ。そろそろ慣れないと”
「それはつまらなくなりますね。それはさておき確認です。相手のダンジョンマスターを生け捕りにしておいてほしいとのことでしたがそれは相手のダンジョンマスターをダンジョンのもとに返さないようにするとの認識で大丈夫でしょうか?」
“そうだよ。こっちの状況知られるのも嬉しくないしね”
「それでは生け捕りにしておくのではなく足止めをして退路を塞ぐことで阿久比町ダンジョン内に閉じ込めるでも大丈夫でしょうか?」
“阿久比町ダンジョン内を自由にさせてコアルームを発見されるリスクはないのか”
「全く無いとは言いませんが現状の敵戦力でオーク達には勝てないだろうと判断いたしました。逆に生け捕りにしようと思ってもそれをやるのが得意なモンスターがおりませんので難しいので勝手にさまよってもらおうと思いました」
“分かった。ダンジョンマスターに関してはその対応で大丈夫だ。ただ追加で一つお願いしたいんだけどいいかな?”
「はい、なんでしょうか」
“できるだけバットも残して置いてほしいんだ。こっちで一体もモンスターを見なくてさ。ワンチャンオリジナルモンスター含めそっちに連れて行ってる可能性も無くはないかなと思ったんだよね”
「了解いたしました。バットを残す以上こちらの被害も多少は増えると思いますが大丈夫ですか?」
“うん、大丈夫。少しの被害は許容して。その上でバットの方はそこまで優先順位が高くないから難しいと思ったら倒してもいいよ。オリジナルモンスターがそっちにいる可能性はそこまで高いとも思ってないから”
「了解いたしました。ではそのように動きます」
頼みごとが増えましたがのくらいなら微々たる差です。
バットは攻撃力がそこまで高くないのでオーク一匹に100匹程度のバットが群がり続けるほどの事がなければ犠牲になることは無いでしょう。
相手のダンジョンマスターがバットにどこまで知識を持っているか分かりませんがダンジョンマスターに指示を出させない程度に圧をかけ続ければ問題ないでしょう。
さすがにコボルトで同じことはきついのでこっちでお願いされなくてよかったです。
それでは襲撃場所の選定です。
まず決まっているのは二か所、コアルームへの入り口周辺とその真反対に当たる場所。
それとは別にダンジョンの出口は今から防衛場所とします。
ここには常に5体のオークを配置しておきます。
後は10か所ほどランダムかつ偏らないように襲撃場所を決めます。
基本の草原フィールドでは地形やオブジェクトの大きな変化はありませんので場所を選定するといっても適当に決めて問題ないと判断しました。
後はこのままこの襲撃場所に敵が来るのを待つだけです。
できればこのまま襲撃場所以外をさまよっていてくれると大青の戦利品が増えてうれしいのですが。
まぁ東浦町ダンジョンがメインコアとも限らないというか可能性は低いと思いますが。
さすがにバットだけのダンジョンマスターが速攻で隣のダンジョンを支配できるのは想像つきませんから。
この後戦闘になった際に敵のダンジョンマスターがFランクのモンスターと対等に渡り合えるくらいなら東浦町ダンジョンがメインコアである可能性を考える価値が出てくるくらいですかね。
—————————————————————————————————————
敵のダンジョンマスターの軍勢が襲撃地点の一か所に近づいてきました。
かれこれ2時間以上さまよっていたのにモンスターと全く別行動もせず動いていたのは感心します。
それだけで時間が稼げますし時間を稼げば稼ぐほどこっちには有利になりますからね。
襲撃地点に着くまでの間にオークを先に出しておきましょうか。
オークを先に見てもらえば意識がそっちの方に向くはずなので。
戦闘を開始したらスライムを少しづつ出していくつもりでいますがどこまで耐えてくれるか。
敵のダンジョンマスターの軍勢とオークが戦闘を始めましたね。
オークにできるだけコボルトだけ狙うように指示を出しているので大青の指示には最大限答えることができるでしょう。
数が数なので乱戦っぽくなってきましたがしっかりコボルトだけ狙えてそうですね。
敵のダンジョンマスターも戦っていますがそこまで光るものは感じませんね。
あの実力でバットだけ連れてコボルトのダンジョンを攻めきれるとは思えないので多分知多市ダンジョンが相手のメインコアなのでしょう。
これに関してはこっちの戦闘が落ち着いてからの報告で大丈夫でしょう。
想定通りオークが全体的に圧倒している感じがあります。
この間にスライムも配置し終えました。
敵もオークに集中してスライムに気づいていません。
スライムを配置し終えたのと敵のコボルトの数が3分の2ほどになったのでスライムも参戦させていこうと思います。
相手の足元に潜り込んだり体当たりすることで相手のバランスを崩してもらいます。
バットには効果がないのとダンジョンマスターにばれると対処されてしまうのでスライムも狙うのはコボルトです。
ダンジョンマスターはオーク2体を相手取っていますがあれはもてあそばれているだけですね。
戦闘開始から40分が経過しました。
敵のコボルトは半分以下まで減りました。
しかしダンジョンマスターが状況に慣れてきたのか周りの状況に感づき始めました。
思ったよりは優秀ですね。
オークの圧を強くしようかと思いましたが余裕ができても実力が上がったわけではないので簡単に死んでしまいそうでやりたくないですね。
そしたらスライムに感づかれたことですしスライムで物理的な壁を作って分断しますか。
現在残っているスライムは350体。
壁を作るには十分残っています。
敵のコボルトを5体づつほど、またダンジョンマスターは単独で分断します。
バットも分断できればうれしいのですが空飛ぶモンスターをどうにかする余裕はありません。
コボルトの方は各個撃破、ダンジョンマスターは混乱しているうちにオークを一体にして逃げ道を作っておきましょう。
そのまま慌てて逃げだせばバットを放置してダンジョンマスターの逃げ道をオークで限定しながら走り回らせましょう。
逃げ出しませんね。
オークとの一対一を30分ほど続けています。
先ほども思いましたがすごい根性してますね、この人。
コボルトの殲滅は終わりましたし、余裕のできたスライムたちでバットを全員囲い込むことに成功しました。
後はこのダンジョンマスターだけなのですが早く逃げ出してほしいものです。
これ以上戦闘を続けてもあまりこちらに得がないのですが・・・。
オークがミスして倒してしまっても、オークがミスして倒されてしまってもなにもいいことはありません。
まぁしょうがないのでこのままこのオークには戦闘経験を積んでいってもらいましょうか。
経験になるのか分かりませんが。
この後は時間がかかるうえにそこまで見ている必要もなさそうですね。
それでは少しまとめてから大青に報告を・・・ん?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます