第6話 冒険者試験③
「最後にダンジョンについてです。とは言ってもダンジョンの根本的なことについては全く分かっていません。ここでしゃべるのは現在のダンジョンの環境についてです。現在確認できている環境は草原・森・洞窟・遺跡・墓地の5種類です。また時間帯が朝と昼の2種類あり計8種類の環境があります。墓地は夜が固定で現れるようで夜以外は確認できていません。洞窟は当然穴の中なので夜も昼もありません。またその他の3種の環境では昼と夜のサイクルがあるところもあります」
話を聞く限り初見のダンジョンには明かりをともせるモノをもっていくとよさそうだ。
墓地でも洞窟でもその他の夜でも使うことになるだろう。
緑区のダンジョンはどうなんだろうか。
「この環境によってできることは大きく変わりませんが対処することが大きく変わってきます。明かりの有無はもちろんの事、戦闘時の場所の広さ、足元の安定性、一番大きいことはモンスターの分布です。環境によって出てくるモンスターと出てこないモンスターがいます。ゴブリンとスライムは墓地を除くすべての環境にて確認できました。その他はアントは草原でコボルトは森、ゴーレムは遺跡、オークは草原と森、ゾンビとスケルトンは墓地で遭遇します」
緑区のダンジョンがどんな環境かわかるかと思ったが、みんなが見たのはゴブリンだけだったから墓地以外としか言えないな。
まぁ全国的に出てきたのはゴブリンがほとんどらしいしそりゃそうなるけどな。
近くで言うと知多半島の方に少し行くとスケルトンが出たらしいのでそっちには墓地のダンジョンもあるのかもしれない。
「ちょっと前に言ったスライムの変化はこの環境ごとにある。分かりやすい所で行くと草原のスライムは弾力が強めで洞窟のスライムはより液体に近い形でした。予想できる理由としては草原では障害物が少なく転がることができる方が移動が速くなるためで、洞窟の方は天井などに張り付きやすく見つかりやすいように液体感が強いのだろうとなっています。実際洞窟タイプのスライムは天井で待ち伏せしてくることもあります。また森ではスライムもゴブリンもコボルトも気の上で待ち伏せして奇襲してくることもあります。ただこれも前に言ったように子供の浅知恵程度のものです。よく見ていれば気が付きます。墓地ではスケルトンなどが地面から出てくることも稀にあるのでダンジョン内では油断しないようにしましょう」
モンスターにも小賢しいやつらがいるようだ。
ただ子供の浅知恵ということは多分隠れていても見ればわかる程度なのだろう。
ダンジョンに潜る時はしっかり気を付けていこう。
「さぁお疲れ様です。基本的な講義はここまでです。この後は一度昼食をはさみ一時間後に再度同じ場所に集合してもらいます。そこからは組合のルールを説明して体力テストに移ってもらいます。ここからは現地の組合員の指示に従って動いてください」
副組合長のその声と共にごつい装備をした組合員が出てきて指示を飛ばし始めた。
「昼食を持参している者はこの部屋でとってもらっても構いません。食堂に行かれる方たちは後ろのドアから順に出てください。集合は14時です。では一旦解散」
声と共に多くの人が出ていく。
愁似は昼飯を持参していたのでその場で食べることにした。
—————————————————————————————————————
昼食を食べ終え座りっぱなしで固まった体を体力テストで使うために伸ばしていく。
伸ばし終えてスマホを確認していたら時間になったようで人が続々と戻ってきた。
少しするとさっき指示を出していたごつい装備の組合員も出てきて指示を出し始める。
「ここからは自分が喋っていきます。まず組合のルールからです。ただこのルール難しいものではないのでしっかり覚えて、必ず守るようにしてください」
そんな感じで彼が喋った内容はこんな感じだ。
・発現スキルの報告義務
・ダンジョン内での殺人や強姦、誘拐などの禁止
・申請外で生きたモンスターをダンジョン外に出さないこと
・魔石の換金を冒険者組合以外でしないこと
・複数人での侵入推奨
・同じパーティになる際、無理やり入れないこと等
基本的にモンスターを殺す以外で人道に反しないことを行っていれば破る可能性はほぼなかった。
こんなもの破るやつがいるのか分からなかったがダンジョン内は監視の目が行き届いていない場所なので犯罪者もわきやすいらしい。
それを抑止するための冒険者免許ではとも思ったが、今はひたすら人が欲しいのだろう。
「それではここからは体力テストに移る。後ろの方から10名ずつ指導員についていってもらう。そこで指示を聞きながらテストを受けてくれ。以上」
多くの指導員の声と共に順に受験者たちが動いていった。
—————————————————————————————————————
それから3日後、冒険者試験の結果が届いた。
その後の試験では大きな問題もなかったので順当に合格していた。
そのメールに冒険者免許丙種の人たちが免許受け取り及び研修できる日の一覧も乗っていた。
愁似は一番早くダンジョンに行くことのできる明日にすぐ予約を入れてその日はゆっくりと過ごした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます