第3話 悪人

その人は自分で自分を悪人と名乗り呑めないブランデーをかっくらっていました。雪の日の事です。それは記録的な大雪の日だったと憶えています。だって貴女は恥ずかしそうに火燵の中で私の太ももの付け根を足先の指で弄っていたんですもの。なんて可愛らしい御方なのでしょう。酒に酔わないと唇ひとつも奪えないで。ああ、きっと、今、私の方が悪人だわ。

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