第3話 ある男は

その男が生まれた国は強さが全てだった

強いのが正しい 弱いのが悪い そんな国だった

男は物心付いた時には闘いに身を置いていた

自分を馬鹿にした奴には二度と口がきけないようにした

武器を持って襲ってくる相手には二度と武器が持てぬよう腕を破壊した

自分の下に付けと言ってきた奴にはソイツの「下」を破壊してやった

大きな大会に出た

皆がこの国を代表する強者達だった

槍使い 弓使い 鞭使い 剣使い 武道家

選り取りみどりだった 。心が踊った

だが結果は男の不戦勝で終わった

何せ此のときには既に男の力に敵う者が居らず 皆がこの男が出場すると知るや辞退したのだ

このような国では有り得ないことであった

男は絶望した。

俺は此の国にいるのになぜ闘えぬと

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