第4話
あの後タオルを持ち、玄関先のラグの上に膝を抱えるようにし、壁に背中を預けしばらく待っていれば呼び出し音が響いた。
少しだけ微睡んでいた意識を断ち腰を上げる。ドアの覗き穴で1度確認すると、傘を折り畳んでる彼を確認しドアを開ければ、傘を差したにもかかわらずびしょ濡れの彼に開いた口が塞がらない。と思ったのも一瞬で、持っていたタオルを勢いよく頭に被せゴシゴシと力に任せ拭いていれば痛いよ、笑い声と一緒にはにかむような笑顔をくれる。
その事に安堵の息を吐き部屋に入るように促すと、彼は行儀よく靴先を揃え靴下を脱ぎ私の後を着いてくる足音に秘かに口角が上がった。
ただ、今の空間に私1人じゃないという安心、心細くなくなったことへの安堵に。
「早かったでしょ?」
「うん...、ありがと」
「どういたしまして」
ふわっと笑む彼に、我慢してたものが溢れんばかりにと勢いよく抱きつけば少し驚いた様子を見せたが、しっかりと受け止めた腕が背中へと回る愛しさと嬉しさがせり上がり、我慢していたそれがぽろりと、1粒流れ落ちるとそれはあとから続く。喉が閉まって、痛い。
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