第2話、上庸郡、制圧と孫権の北伐
それから都で劉禅(陛下)の許可を貰って密かに上庸郡に攻め入る支度をしていた。
今回の戦いは上庸郡のみなのでそこまで戦力は要らないとして八千の軍勢で向かう事にした。
大軍勢だと敵にバレてしまう為にここまで戦力を削った、正確には用意が出来なかっただけであるが。
それに戦力が少ないという事はすぐに支度が可能でありそれだけ神速に動けることになるので悪い事ばかりではない。
それにしてもやはり思ったのだけど劉禅って良くも悪くも普通だなと感じてしまった。平凡な君主であり間違いなく暗愚ではないけど国を救う英雄ではないと感じ取れた。
まあ、性格は良い人だから部下として何とかして見せるけど。
そうして自分は八千の軍勢を率いて密かに河を下り上庸郡を目指した。
そうして上庸郡の制圧に乗り出したのだけど・・・油断していたせいで殆ど戦わずに制圧してしまった。
中央政府の腐敗がここまで来てしまったのか、まともに戦おうとする者はいなかった。喜ぶべきことなのか悲しく思うべき所なのかは思う所があるが今は上庸郡の制圧に成功した事を喜ぶべきだろう。
なんせ北伐を始めてから奪えた郡が2つしかなかったが今回で3つ目となりしかも今回は殆ど損害なしと言う大勝利と言えるだろう。
無論、魏からすれば偏狭な小さな郡を失っただけになるが蜀漢からすればあの諸葛孔明に次ぐ戦果を上げたことになり大きな話題や軍勢の士気が大きく高まった。
蜀漢では正しく諸葛孔明の後継者に相応しいと声が高まり地位の安定化をさせることに成功した。
このまま北伐を再開させようと言う声も上がったが今回はあくまで敵の遠征軍のすきをついて上庸郡を手に入れたのだけでもしこのまま北伐を再開させたら司馬懿がしばらくすると戻って来て大変な事になるとして防衛にまずは専念するように伝えた。
無論それだけは北伐派の者たちを抑えることはできないので時期を見て動きましょうと伝えていた。
そしてその時期は近いうちに到来しますからと伝えた。
その時期とは言われたので自分は魏の皇帝が危篤状態になった時にと返答した。
嘘であるが間者を魏に入れて内部を調べさせていると伝えた。しかも日に日に状態が悪くなって来ていると伝えると北伐派の者たちは流石、丞相の弟子ですなと感心をして納得してくれた。
お前たちら少しばかり相手を疑うことをしたほうが良いぞと思いながら戦の支度をしていると突如として孫権がかつてない程に大規模な北伐軍を起こしたと言うのだ。
本来ならば魏の二代目皇帝が亡くなってから行動に移るはずなのに魏の皇帝が危篤状態と分かった瞬間に行動を始めるとは・・・。
もしかして自分の上庸郡、制圧の影響が孫権の北伐を早めたのかもしれないと感じていると陛下から漢中の5万の兵の指揮権を与えると勅命をもらい、その直後に孫権からの荊州への援軍要請も入った。
まあ、そうなる様にする為に上庸郡を奪ったのだから来てくれないと困ってしまう。
どのように指揮をするのかは陛下から許可をもらい自分は早速行動に移し始めた。
「張翼将軍は一万を率いて上庸より南下して呉軍と連携して魏の前線を崩壊させてくれ」
「御意!分かりました!!」
張翼将軍は姜維と共に長く魏軍と戦いをともにする名将であり、姜維と違ってそこまで北伐にこだわっていない人物である。
益州出身と言うこともあるだろうがそれよりも姜維よりも現実を見ていた可能性もあり個人的にはもう少しばかり評価をしても良いのではないかと思っている。
「王平将軍!王平将軍も一万の軍勢を率いてもらい、長安に続く最短距離の道に進んでもらい、長安付近を襲撃した後に漢中に戻り敵の追手を狭い道で迎え撃って下さい。魏軍を壊滅させようとせずにただ牽制をして本隊の援護をお願い致します」
「承知!分かりました」
王平将軍はいつも堅実にやってくれるしその上にこの辺の地形での勝負ならまずは安心できるだろう。
何故ならば王平将軍は今より少しばかり未来に起きる魏の侵攻をこの漢中の険しい地形を活かして魏軍を撃退することになっているのでまずは安心して任せられる人物であるだろう。
その辺の活躍をもっと知られる事があれば間違いなく評価が今よりも高くなると思うのになと思っている人物・・・ただし自分の名前以外の文字が書けないのが欠点であるけど・・・。
「そして自分が率いる3万でまずは武都より出陣して北伐してその付近の郡の制圧をして盤石させる。今回の北伐で更に勢力版を広げる、長安までの道は長くまずはその一歩として隴西郡を奪う」
そう、まずは長安から遠い隴西郡から奪う事にしたのである。長安の守りは固いのは分かりきっているのでまずは辺境の土地でも奪って確実に国力を増やして行くしかない。
地道な作業に見えるかもしれないけど国力が増えるならそんな地味な事でもやってやらないと間違いなくこのままだと蜀漢は滅亡をしてしまうからな。
それだけ蜀漢は追い詰められているのだ、だからこそあの諸葛孔明は焦っていたのかもしれないな。
賢いからこそ未来を見通してどうにか蜀漢の未来を切り開こうとしていたのだな。まあ、未来の知識がある少しばかり卑怯なやつだけど頑張っていた貴方が描いた未来に近くなるように頑張りますよと思いながら自分は出来ることを最善に尽くすことにしたのだった。
さてと自分の才知はどこまで通じるのか楽しみでもあるなと考えていた。元の世界では全くも役に立たない知識がこの世界では滅茶苦茶に役に立つのだから嫌でも武者震いをしてしまうものだ。
それと今、思い出したのだけど蜀漢には三国志をリアルタイムで見ていた生きた化石とも呼ばれている蜀漢の将軍が居たはずだから落ち着いたら贈り物とか送れば劉備たちの話をしてくれるかなと思いながら戦場に向かい始めるのだった。
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