第4話 やれば出来る子

喜一は、殺した4人から武器や防具を奪う。


よく、映画などで、いや!そこにある武器拾えよ!いやいや、使える物使えよ〜!と歯がゆい気持ちになった事はないだろうか?


男達の中で喜一の背丈にあった防具を身に着ける。想像以上に胸当て等だけでも重たい。装備一式や街があった時に使えるであろう金品なども奪う。


喜一:「寝転がってたから、こいつらがどっちから来たかも分かんないな」


喜一:「ステータス表示、レベル2 体力、筋力、魔力、スキル、職業などなど、う〜ん。ほとんど10あるかないかの数字、、スキルや職業欄も空欄、モブですな!いやいや、これから強くなるのが異世界物語だよなぁ」 


彼は気が付いていないが、楽観的でもある。でなければ長い月日を暗い部屋の中でのうのうと過ごしてはいないだろう。


喜一:「まずは、探索しながらレベル上げだ!さっきの事はまぁ、、、正当防衛だな、よし!モンスターさんはどこにいるかなぁ?」


AI「スキル獲得 危険察知」「スキル獲得 周囲索敵」


喜一:「うわっ!これ慣れないな、急にうるさいし、音量考えてくれよ」


AI「音量ミュートモードへ変更」


喜一「ちょ、、極端です。今まで通りで良いよ、君のお陰でさ、まぁ生きてるのは事実なんだし、君もスキルの1つって事か、でもなぁんか視線感じるんだよな、危険察知の能力かな?」


彼は貴方の存在なのか理解はしていないが、引きこもり生活から飛び出し、異世界へと転生し心が安定しているのは貴方に見守られているからかもしれません。


AI「危険察知!前方より認識出来ない生物反応を検知!」


喜一:「さぁさぁ♪ここで逃げたら男じゃないよなぁ!」


喜一は全力で無我夢中で走り出す。

視認出来たのは約15m程の距離、喜一が手にしている武器は中世で活躍したナイトソード。遠距離武器は無く、自身も守る盾も無い。


ただただ、走り距離を詰める。

そこにいたのは、イノシシのようだが牙がやたらと長く金属で出来ている様な光沢があり、前向きに向いている、前方の敵を刺す為であるのは確か。


喜一が全力でバタバタと走った為、そのモンスターらしき動物は臨戦態勢。

喜一のスキルは危険察知、周囲索敵。

攻撃スキルは無い。


だが、何一つとして彼は止まらない。

確固たる決意と、この世界へ転生した高揚感、先程の戦闘での人生においての初めての殺人。


ナイトソードを牙の間に向けて突き刺す。そんな簡単にはいかない、牙で振り払われ、喜一は後ろへ飛び距離を取る。


喜一:「ひゅ〜!良いね良いね〜このヒリヒリした感じ!前しか攻撃出来なそうな体してるね〜上から下から横からどこから攻めようか!!!」


喜一は冒頭でも話したが頭がとても良い。他人への興味などないが、他人を観察し見下し、自分が1番優秀だと思い込み人生を歩んで来た。


喜一:「なんかそこのよく分からないイノシシもどき!喜一くん行きまぁす!」


左手で胸当てを外し、そのまま猪突猛進!イノシシもどきの牙と胸当てが直撃し火花が散る!右手に持ったナイトソードをイノシシもどきの背中へ突き刺す、何度も何度も突き刺す、喜一の顔に血しぶきが飛び散ろうがやめない。


イノシシもどきが唸りを上げて倒れる。


AI「レベルアップ スキル獲得 猪突猛進」 「スキル獲得 憤怒」


喜一:「四字熟語?まぁこんなモンスターごとき、俺様にかかればちょちょいのちょいだな」


イノシシもどきを倒した先に小さな小さな集落が見えた。


喜一:「お!情報収集できちゃう感じ?異世界来てから、異世界らしい楽しい事ぜ〜んぜん無いしなぁ、アニメとかだとチート魔法とか、スキルがぶっ飛んでたりさぁ、俺のスキル、、ガチャのノーマル4連チャンですなぁ、レベル1上がる毎にスキルも獲得なのか?レベル4でスキル4つ、闘い方や自分の状態でスキル獲得の種類が決められているような」


彼はなぜこんなにも戸惑いもなく怒り剥き出しのまま戦うのだろうか。

冷静な分析は必要不可欠であり現状把握は必須だ。

しかし、彼は異世界へ転生した事を満喫しているのだろうか、実は現実世界への未練があるのではないだろうか、

疑問は尽きない。


貴方は喜一がどう見えていますか?


彼がこの異世界へ転生し結末を迎える時に貴方は喜一と向き合えるのか、目を背けてしまうのか。物語を通じて、貴方は考える、喜一が考える様に、、


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