5−2

 変装しようと提案して、しばらく。時計なんてないし、スマホの時間はあてになりそうもないけど、1時間くらい経っただろうか。ネオはディディを連れて、村中から衣装を集めた。

これで変装して、コフィン国とやらに潜入する。大丈夫なのか? と疑問だったが、やっぱり大丈夫そうではなかった。


「ねぇねぇ! この半ズボン、めちゃくちゃかわいくない? ボク、これにしようかなぁ。ボクのツルツルな脚の魅力がすごく出るし!」

「もっと大人っぽいのはなかったのかい? 私のオトナとしての包容力が表現できないっ!!」

「ディディ、うっせーな。お前の大人の魅力より、時代はさわやかセクシーだっつーの。おっ、この肌が露出する服なんていいかも。ヴィーナはそれな?」

「……さすがウィン、僕の良さをわかってる」


 ウィンはタンクトップみたいな服だし、ヴィーナが選んだのはなんか、聖職者かビジュアル系か、悪魔信仰者かわからないような怪しいベールのある服だ。ウィンにうるさいと言われたディディは、悩んだ挙句日本のモード系みたいな格好に決めたようだ。


「ネオ、お前はどうするんだ?」

「あたし? あたしは、聖女ちゃんと一緒。ちょっとこっちに来て?」

「は?」

「お、おい……」


 高坂はネオに街の服屋みたいな店に連れていかれる。オレはひとりになってしまった。


「聖女のおねーちゃんはいいとして……サキはどうしよっか?」

「こいつは奴隷の格好でいんじゃね? どうせ下僕なんだろ?」

「おおいっ!! ちょっと待て! 奴隷って、もっと尊重しろっ!!」


 好きかって言うウィンに、オレは抵抗する。ここでの扱いがただでさえひどいのに、奴隷の格好をしろだと!? それだけは人間の尊厳を守らねぇと。


「こんなのはどうだろうか? コフィン国の学生の服だよ?」

「学生服? ああ、まぁそれでいいや」

「僕のコレクション……」

「わ、わりぃな」


 恨めしそうに見るヴィーナに、一応謝罪する。コレクションってことは、多分コスプレしてたってことだよな。まぁ、その趣味には言及しないけど。


 しばらくして――。


「みんなぁ、あたしと聖女ちゃんの準備できたわよ~!」


 ネオが店から出てくる。踊り子の格好か? にしても、長髪なので女と見劣りしない。怖いな、エルフ……。これ、普通の男が「女です!」って言われたら、完全に勘違いするだろうし、むしろ普通の女より美人なモデルみたいだ。


 そして、ネオに手を引かれて出てきた高坂は――。

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