第4話 ギルド【サラマンダー】①
ギルド【サラマンダー】のクウェインとその多くの仲間達は不思議そうな目でこちらを見ていた。
なぜならレイがノードレスだと誰もが祭りの日に知っていたからだった。
「こいつ祭りで騒ぎがあった時にシンの奴が言っていたレイだろ。確かノードレスって言っていたが……どうしてここにいるんだ」
奥から現れたのは火を纏った剣を持っている和服の男。サラマンダーのギルド長であるボルケーノだった。更に奥から出てきた斧を持った大男は副隊長のマグルマ。
「どうやって入ったのかは知らんがノードレスが不正な方法で侵入したと知れば街は大騒ぎじゃ済まないぞ!言え!どうやって入った!」
「ボルケーノさん、マグルマさん、もしかしたらこいつ遂にノードに目覚めたのかもしれないんですよ!そうなんだろ、レイ!な!」
輝きを見せるクウェインの目の奥底にはどうしても疑いを持った目もあった。笑顔は見せているが目はどうしても泳いでいる。
「何とか言えよレイ!な、ほら」
「ホントだって。祭りの日にノードに目覚めたんだよ。じゃなきゃどうやって入って来れるってんだ」
ほっとしたサラマンダーのみんなは同時に大いに喜んでくれた。
「やったなレイ!おめでとう!」
「遂に冒険者だ!ウチに来いよ!な!」
サラマンダーのみんなは温かくて心から喜んでくれるイイ人ばかりだった。目覚めたわけでも使えるわけでもないノードの事を静かに心の奥底に隠したレイはどうしても苦笑いしか出来なかった。
「目覚めたばかりのノードで第二層はあぶねぇ~ってもんだ。一旦戻ってレイにノードの事について教えてやりたいんですが、ボルケーノさん駄目でしょうか」
サラマンダーは20名程の人数で動いていたが、そのほとんどは2層攻略を目標としていたのか手ぶらだった。何も持たずに帰らせるというのはと考えたレイは荷物を開いた。
「俺さ、第一層で大量に食材取ってきたんだ!助けてくれたお礼にさ、サラマンダーのみんなで食べちゃってくれよ!」
リュックの中にぎっしり詰め込まれた食材を見てサラマンダーはごくりと喉を鳴らす。
「ようし!帰ってバーベキューだ!行くぞ野郎ども!」
「「うおおおおおおおお!!」」
ノリノリで帰還するサラマンダー達を笑いながらクウェインとレイは後を付いて行った。第一層に戻って歩き慣れた道を進むようにみんなは帰路を進む。
「それにしてもレイがノードに目覚めたなんてな。どんなノードなんだ?」
「それが、分からなくってよ。どうやって使えばいいんだ?」
「どう説明すればいいかな。物心ついた頃には出来てたから上手く説明は出来ないけどこの世界には大きく4つのノードがあるんだ」
クウェインが説明してくれた内容は簡単だった。
近接攻撃型ノード。
これは近接に特化したノードで武器を持った時の火力が跳ね上がる。よくあるタイプが先程見せた【乱舞】というノードで目には見えない速度で切り刻む事が出来る。
遠隔攻撃型ノード。
その名の通り遠隔攻撃のノード。よくある【竜の息吹】といった属性攻撃の火を吹いたり、氷の雨を降らす事が出来る。
治癒術型ノード。
手の平に光を集め触れると治療が出来る癒し手の力。非戦闘向きではあるがギルドにはなくてはならない存在。
補助型ノード。
味方にバリアを張ったり、探知能力が出来る補助型ノード。これも非戦闘向きではあるがギルドにとって必要不可欠だ。先程のバツ印の部屋も探知能力で見つけた魔物の巣だったのだ。
それ以外の特殊型ノード。
4つの分類は一般的によく見られがちな部類ではあるが、全く異なる異質な能力を持ったノード。天才と呼ばれる人間に見られるが1万人に1人いるかいないかといったケースである。
「レイの場合特殊ってのは無理あっからな~。剣を持って何も感じないなら攻撃型でもないんだろ。帰ってから色々検証して探してみような!マジで楽しみだ!」
クウェインは自分の事の様にウキウキで喜んで飛び跳ねている。本当にイイ友達を持ったものだとレイは実感していた。
「さ、見えたぞ。第一層の帰還口だ」
サラマンダーのみんなが飛び込む中でレイも同様に飛び込んだ。
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