第11話
昨日メールで送られてきたお店に着き、店員に蓼丸で予約してると思うのですが、と言うと席に案内された。半個室の席に通された。
「ああ。久しぶりだね天馬君」
蓼丸さんはもう席に着いて待っていた。
「あ、ごめんなさい。お待たせしちゃいましたか?」
蓼丸さんは優しい笑顔で、「ううん。私もさっき来た所だよ」と言った。
この優しい笑顔に久々に心が和んだ。
俺は蓼丸さんの正面に座った。
「今日も奢りだから好きな物食べて」
「えっ。でも・・・」
「いいのいいの。私から誘ったんだから」
蓼丸さんの優しさに心が染みた。
メニューを見て海鮮丼が美味しそうだったので海鮮丼を頼んだ。
「なんか元気がなさそうだけど大丈夫?」
蓼丸さんは目を細めてそう言った。
「はい。大丈夫です。蓼丸さん入院したって聞いたのですが大丈夫でしたか?」
「ああ。大丈夫。心配かけたよね。ただの盲腸だから。あ、急性虫垂炎って言うんだったっけ。お腹の下あたりに前から違和感はあったんだけどね、気にしないで仕事してたら急にすごい痛みがして。それで動けなくなっちゃたんだよね。医者にはもう少しで手遅れになる所だったって怒られちゃったよ」
はははと笑う蓼丸さんにつられて笑ってしまった。
「あ、やっと笑ってくれたね」
「え。あ。すみません」
「なんで謝るのさー」
蓼丸さんはいつも優しい。その優しさに俺はいつも甘えていたんだ。
「でさ、湊と会ったりしてる?」
「えっと・・・」
俺はどう説明すればいいか分からなかった。せっかく、湊を宜しくねと言われたのに別れたなんてなかなか言えない。
「もしかして何かあった?」
話していると料理が運ばれてきた。
いったん話は中断だ。別れたなんて話、食べながらできない。
蓼丸さんもそんな空気を察してか分からないが黙って運ばれてきた料理を食べていた。
食事が終わり、俺は蓼丸さんに話した。
「実は別れちゃったんです」
素直にそれだけを伝えた。
それを聞いた蓼丸さんは、そっかと言い、それから悲しい表情をした。
「湊はなんて言ってたの?」
「好きな人が出来たから別れて欲しいって」
「そっか・・・」
蓼丸さんは俺をじっと見つめて、「湊をあまり責めないであげて欲しいんだ。親だからとかじゃなくてね。湊は好きな人が出来て別れを切り出したんじゃないと思うんだ」と言った。
俺は訳が分からなかった。蓼丸さんは何かを知っている。
「どうしてですか?」
蓼丸さんはちょっと上を見て深呼吸してから、「実はね。湊は見つけちゃったんだ。昔の写真を。天馬君のお母さんと一緒に写っている写真をね」と話始めた。
「あれは湊が三歳の頃だったかな。妻は身体が弱くてね。入院してたんだ。私もね、妻が入院して湊はまだ小さい。日々が大変だった。家事に育児に仕事に。妻の両親は早くに亡くなっていてね。誰も助けてくれる人がいなかったんだ。うちの両親は広島に住んでいてなかなかこっちに来れなくてね。そんな毎日を送っていたら、心がすさんでいってしまってね。寂しくなったのかなぁ。癒しを求めていたんだ。そんな時に出会ったんだ。天馬君のお母さんに。とても美人で気さくで明るい人だった。私は恋をしてしまったんだ。天馬君のお母さん、さなえさんに。妻がいながらね。悪い事だとは分かっていたけど、気持ちはどうする事も出来なかった。そして関係をもってしまった。一年間その関係は続いたよ。妻が入院している時に私はさなえさんとね。そして告げられた。子供が出来たって」
俺はもしかして・・・と絶句した。
「うん。その子供が天馬君。君だ。さなえさんは一人でこの子を育てると言って私の側を離れていったよ。でも女手一つで子供を育てるのは大変だからって私はさなえさんを説得してお金だけでも助けさせてくれとお願いした。それで振込先だけは聞いて毎月定期的にお金を振り込んでいた。それから妻が亡くなって、さなえさんに報告しようとしたけど、どこに住んでいるかも知らなくてね。まさかこんな近くに住んでたなん思ってもみなかった。酷いかもしれないけど、妻が亡くなった時さなえさんと一緒に暮らせると思ってしまったんだ。その方が良いって。でも居場所が分からかった。繋がっているのはお金だけだ。だから毎月欠かさず振り込んだ。好きだという気持ちも込めて。湊にもこの話はしたよ。写真見つけられて問いただされてね。写真なんて大事に持ってたからこんな事になってしまった。湊はそれを知って、それで別れるって言ったんだね。でもどんな事があってもこれは私の責任だ。湊や天馬君には関係ない事だ。たとえ異母兄弟だとしても好き同士なら関係ないと思っていた。さなえさんもきっとそう思ってるはずだよ。だから湊を救ってやってほしい。湊の、天馬君を紹介してくれた時の顔が忘れられなくてね。湊はあんなにも幸せな顔でいたんだって思ったら嬉しくてね。ごめん。自分勝手なのは分かってる。天馬君を身ごもらせた事も私の自分勝手な行為のせいだ。でも二人には幸せになってもらいたい」
蓼丸さんはそこまで話すと水を一気に飲み干した。
「そんな。蓼丸さんは俺が蓼丸さんの子供だって事知ってたんですか?」
「天馬って苗字も珍しいからね。それに天馬君の顔を初めて見た時、さなえさんの面影を感じてね。もしかしたらって思っていた。それでこれはやってはいけない事なんだけど、履歴書の住所を頼って家に行ったんだ。遠くから見ていたらさなえさんを見つけた。年は取っていたが分かったよ。やっぱり天馬君は自分の息子だったんだって。それから下心がなかったわけではないけど、もしかしたらまたさなえさんと会って話せるかもっていう思いと、罪滅ぼしのつもりで天馬君に話かけてお昼を一緒に食べる事にした。酷い人だよね。私は」
申し訳ないと、蓼丸さんは頭を下げた。
そんな蓼丸さんを見て立ちあがった。湊さんと俺は異母兄弟。そしてそれを知った湊さんは一人でその事実を抱え込もうとしていた。湊さんに会わなきゃ。
「俺、湊さんに会いに行かなきゃ」
俺は蓼丸さんを置いて店をでた。
走った。走って走って走った。
まだ湊さんはバイト中だし急いだって仕方ないのは分かっていたけど、早く会いたかった。話したいと思った。湊さんの気持ちを思うと胸が苦しくなった。走っていたせいで息も苦しかった。けど、この苦しさより、もっともっと湊さんは苦しかったんだ。
湊さんの住んでいるアパートに着き、湊さんの部屋の前まで来ると息があがり、汗が額を流れた。
俺は息を整え、額の汗を拭い、ドアの前に座って湊さんが帰ってくるのを待った。
待っている間、頭の中では色々な事が巡っていた。初めて湊さんと会った時の母親の態度。蓼丸さんから二人への言葉。いずみが二人は目元がなんだか似ているねと言った事。それら全てが蓼丸さんの話により合点がいった。それは似ているはずだ。異母兄弟なんだから。
人の気配がした。
顔を上げると湊さんが立っていた。
「なんでいるの?」
弱弱しい声だった。少し見ない間に湊さんはやつれたように見える。
俺は立ち上がり、「蓼丸さんから、話聞いた」と言った。
「そっか」
湊さんはバッグから鍵を取り出し俺に近づいてきた。
「ねえ、湊さん。好きな人が出来たって嘘だよね。俺ら異母兄弟だから別れようって言ったんだよね?どうして?俺の事好きじゃない
?」
俺は出来るだけゆっくりと話した。
湊さんは困った顔をして、「ここではなんだから家に入って」と言った。
俺は後ろにあるドアから横にずれて湊さんは鍵を開けた。
二人で中に入り、湊さんはバッグを置くとそのまま座った。俺も机を挟み、湊さんの目の前に座った。
「親父に話を聞いたのなら付き合うのは無理だって分かっただろ?」
湊さんはぶっきらぼうにそう言った。
「なんで?話聞いたけど無理だなんて思わない。お互い好きなら関係ないよ」
「関係ないなんてない!俺ら兄弟なんだよ!無理に決まってる!」
湊さんは声を荒げた。
俺も感情が高まってしまい、「その辛い気持ち俺にも分けてくれよ。一人で抱え込むなよ。兄弟だからって何なの?父親が一緒だからって何なの?そんなの関係ない!好きなんだよ湊さんが!」と声が大きくなった。
湊さんは黙ったままだった。
「そんなに兄弟だって事が気になる?湊さんは俺の事どう思ってるの?好きなの?嫌いなの?」
湊さんはボソッと「無理だって」と言った。
「好きなの?嫌いなの?」
俺は兄弟だからって関係ないと思った。好きならいいではないか。
「今でも好きだよ。朝陽の事が忘れられないよ。ずっと考えてた。朝陽の事を。でも兄弟だって知ったら、兄弟で付き合うだなんてって思った」
湊さんは顔がゆがんでいた。
「もう、悩まないで。湊さんは一人じゃない。俺がいるから。好きならそれでいい。好き同士なのに別れるだなんて出来ない。そんなのおかしいよ。それに、俺ら男同士じゃん。子供も出来るわけじゃないし、別に父親が一緒だっただけで何が変わるって事もない。ね。湊さん。二人で歩んでいけば何も悩む必要なんてない。俺は湊さんが大好きだ」
俺は湊さんの側に行った。そして肩を抱き寄せキスをした。
「ううっ」
湊さんは離れようと必死にもがいていた。でもキスをし続けた。湊さんの口の中に舌を入れる。
「ううっ。やめて・・・」
俺は辞めなかった。
強引に湊さんを押し倒す。それは湊さんを好きだという事を身体で伝えたくて。これ程までにあなたの事を愛しているんだと伝えるために。
服の中に手を入れた。乳首を触りつまんだ。
「あっ」と感じた湊さんは抵抗を辞めて俺に身を委ねた。
湊さんも分かってくれたのだろう。俺がどれだけ愛しているかと言うのが。そして抵抗をやめた湊さんもまだ俺の事が好きなのだ確信した。
キスをしながら舌を絡める。
下半身に手を伸ばすと、湊さんは勃起していた。勃起したペニスは洋服から出たがっていた。
「感じてるじゃん。湊さん」
俺は洋服の上から下半身をさすり、「あっ」と感じる湊さんの唇から口を離した。
上着を脱がせ乳首を舐める。
「あっ気持ちいいいよ朝陽」
「湊さん。好きだよ」
「俺も好きだ」
舌を滑らせて乳首からお腹へ。全身を舐めていく。湊さんの白くて綺麗な身体は舐められてびくんと反応する。ズボンとパンツを一気に脱がせ出てきた湊さんの大きな下半身を舐めた。先端からは透明な液体が出てきていた。根本から頂点に向かって舐める。
「あっ。ああっ・・・」
頂点で透明な液体は糸を引いた。
そのままペニスを口に含む。
「朝陽の口の中温かい」
乳首を手でいじりながらフェラをした。
顔を上下に動かす。じゅぽじゅぽと音を立てる。
二人の間に溝がなくなったようだった。異母兄弟という事実は確かに恋愛には重たい。けれど好きなのだ。湊さんが、そして湊さんも俺を好きだと言ってくれた。それでいいじゃないか。好きになってしまったのだ。
それから湊さんに「ちょっと待っててね」と言い、素っ裸の湊さんをおいてローションを取りにいく。ローションはベッドの横に置いてあった。ローションを取り、湊さんが仰向けになっている所に戻る。
ローションを湊さんのペニスに垂らして手でしごく。
「あっ。それやばい」
ぐちゅぐちゅと音がする。
もがいている湊さんを見ながら、ペニスから手を離し、人差し指にローションをつけて穴に指をゆっくりと入れる。また手で湊さんの大きくなったものをしごく。その度に穴が締まる。それをゆっくりとほぐし、今度は人差し指と中指を入れる。
「はぁはぁ」
息の荒くなった湊さんに俺は興奮した。
「やばい。もう入れたい。いい?」
湊さんと一つになりたい。繋がっていたい。
湊さんは、「入れて」と言った。
湊さんも一つになりたがっていた。一人じゃない。二人で一緒にこれからを乗り越えていくんだ。こうして二人で繋がれば愛を感じられる。
俺は服を脱ぎ、自分の固くなった部分を湊さんの足を広げ穴に押し当てる。
ぐっと腰を湊さんに近づける。
「ううっ」
湊さんの中に入った。
温かくて気持ちいい。腰をゆっくりと動かすと、湊さんは喘いだ。
「もっと声出して」
「あっ、ああっ。」
俺は湊さんの声に興奮した。腰を動かし続ける。
「やばい。イキそう」
気持ちよさが絶頂へと達した。
「まだイかないで」
湊さんは自分で自分の大きくなったものをしごいた。
「一緒にイキたい」
俺は腰をゆっくりと動かした。
湊さんは「ああ。やばい。気持ちいい」湊さんはよがりながらとろんとした顔になっている。
俺は腰を早く動かした。
「あっ。イキそう」
「俺もイキそう」
二人は同時にイッた。
「はぁはぁ」
「はぁはぁ」
二人の息は上がっていた。
俺は湊さんにキスをした。
深い深いキスだ。
二人でシャワーを浴びた。
「これでいいよね?」
俺は湊さんに聞いた。
うんと頷く湊さん。
「もう別れるだなんて言わないで。どんな事があっても二人で考えて乗り越えていこう」
「わかった」
俺は湊さんにキスをして、また大きくなった湊さんの下半身を触った。
「元気がいい」
ふふふと笑うと、「朝陽だって」と言って湊さんは大きくなった俺のものも触った。
二人で身体を密接させながらしごいた。
「まだイケる?」
「ちょっと無理」
はははと二人で笑い、シャワーで身体を流した。
湊さんとベッドで一緒に横になる。
「ずっとこうしたかった」
湊さんは俺にくっつき顔を胸に埋めた。
「俺だって湊さんとくっついていたかった」
二人はそのまま深い眠りに落ちた。
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