第21話

一方その頃、スズランとサンゴは…

『スズラン視点で話が進みます』


「サンゴさんは、なんでそんなに薬に執着してるんですか?」


僕の問いかけに、サンゴさんは応えることは無い

あくまで付いてきているお邪魔虫と思っているようだ

でも諦めずに、「ねぇねぇ、なんでなんで?ねぇねえねぇ」

と話しかけると、イラついた顔をしながらも

諦めた様子で口を開いてくれた


「私の家には、16年もの間眠っている母がいるの。魔王と戦った時に受けた呪いを解除するために、今も奮闘しているわ。その解除の手助けになるかもしれないの。だから邪魔しないで」


16年も…ほほーーなるほど

噂に聞いたことがあるぞぉ〜なんだったっけな…


「着せ替え人形でも、聞いた事ぐらいあるでしょ…出来損ないの勇者の娘がいるって。それが私の事」


そう!それだ!

なんか昔に勇者の娘なのに剣が抜けなくて……

みたいな話を王妃様達が言っていたのを聞いたのだ

その頃は人形だったからあまり詳しく聞けなかったけど

そっか、その娘が彼女なのか


「出来損ないだなんて、そんなはずないのになぁ…」


「出来損ないよ。ましてや今は勇者の剣をあんなガキに取られてるんだもの。母に会わせる顔がない …けど、そんな事も言ってられないから」


ガキって…同い年に見えるけど……まあいいや

お、ようやく薬や武器が収納されてる倉庫に着いた

きっとサンゴさんが求めてる薬もここにあるだろう

……ん?なんか狐みたいなしっぽが見える

と思って掴んでみると「キャン!!!」と声がする

よく見ると獣人族の美人な女性だ

ま、私には負けるけどね!!


「あ!あんたこの前の泥棒猫!」


「あんた達……もう来たのね。ていうか尻尾!掴まないで!」


「えぇ〜めっちゃふさってしてるからやだ〜(*´艸`*)」


「掴まれてると力出ないの!は!な!し!な!さ!いぃー!!!」


「でかしたわ人形!そのまま捕まえてて!この前の恨み、晴らしてやろうじゃない」


サンゴさんが指をポキポキ鳴らして近寄ろうとすると

近くで大きい物音がする

驚いてそっちを向いた瞬間に、獣人の人はスルリと私の手から抜ける

音がした先には、目が真っ赤に染まった女性ゾンビがいた


「あれ……王妃様!?」


「あの人が大賢者オニユリ様!?」


「あら、こんな所に泥棒が3人もいるなんて……排除しなくちゃ」


王妃様は私の言葉を聞く間もなく

恐ろしい程の量の魔法を放ってくる

僕は慌てて避けるが、このままだと倉庫がとんでもないことに!


「ちょっと!どうにかしなさいよ人形!」


「少し大人しくさせるしかないです!3人がかりならなんとかなるはず!」


「はあ?なんで私も入ってるのよ」


「このまま僕たちを見殺しにするんですか!?この人でなしぃ〜!」


「いや、私人じゃないから、頑張ってね」


「あ、こら!この泥棒猫!待ちなさい!」


「もう二人でやるしかないです!やりますよサンゴさん!」


「あの泥棒猫ぉ〜〜覚えておきなさいぃ!人形も私の足引っ張るんじゃないわよ!」


「合点承知之助!!!ていうか僕スズランだよ!そろそろ覚えて!」


【第21話 しつこい女は嫌われるって?大丈夫!何故なら私はプリティだから!!!】

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