第12話
カフェでのバイトが終わり、従業員出入り口を出てすぐに、僕は、花音から声をかけられ驚いた。
「あれ?どしたの?今日は遅番シフトだから会えないって言ったよね?」
「急に、英太に会いたくなって……」
目の前の花音は、間違いなく花音なのに、何処か違和感を感じるのは何故だろうか。
「ねぇ、お腹減っちゃった」
花音の声が、いつもよりも少し鼻にかかっている。
「じゃあ、僕が、オムライス作るよ、デミグラスの」
「アタシ、ケチャップがいい」
僕は、ゆっくりと、繋いでいた花音の右手を
離した。
ピタリと足を止めた僕に、花音ではない花音が、ケタケタと笑う。
「バレた?でも、今日から、アタシが、荒木花音だから」
「その声、いつも花音と一緒にいた美咲?とかいう人だよね。今のどういう意味?」
僕の中に、黒い感情が揺らめいていく。
「怖い顔。ずっと花音になりたかったんだよね、だから花音そっくりに整形して、これからは、花音として生きていくの」
光悦とした表情を浮かべながら、美咲が、にんまり笑った。
「あ!イイコト教えてあげる。花音ね、さっき、不慮の事故で死んだわよ。あ……間違えた。死んだのは美咲ね」
ーーーその瞬間だった。美咲の顔が、あっという間に驚きに変わる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます