第13話

「恥ずい。早く返事しろよ」


 涼真が金髪頭を掻きながら、口を尖らせた。

もう夢でもおまじないでも何でもいい。今言わなきゃ、多分一生この恋心は吐き出せない。


「私……涼真が好きっ」


 涼真は、一瞬だけ掌で口元を覆ったが、すぐに私をぎゅっと抱きしめた。涼真のスウェットから石鹸のにおいがして、耳を澄ませばドクンドクンと駆け足のような鼓動が聞こえてくる。


「100回待ってやったんだからな、恋カレー」


「え?どうして、恋カレーのこと?」


「あ、恋カレーの話は小学校の時、果帆から聞いたんだ。好きな子から100回カレー作ってもらったら、その子が俺の事好きになるって。だから俺、香恋に100回カレー作ってもらって俺の事好きになって貰えたらなって」


「あれ?恋カレーは、ハート型の人参でカレー作って好きな人に100回食べてもらったら、自分の事好きになるって聞いたけど?」


私達は、顔を見合わせてながら首を傾げる。


「え?」

「あれ?」


そしてすぐに果帆の悪戯っ子のような、顔を思い出す。


「あー、マジか。果帆にやられた」


「何で気づかなかったんだろ、私、恋カレーの話、果帆からしか聞いたことない」


「だな。俺も」


私達は抱き合ったまま暫く笑い合うと、初めての触れるだけのキスをした。

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