第13話
「恥ずい。早く返事しろよ」
涼真が金髪頭を掻きながら、口を尖らせた。
もう夢でもおまじないでも何でもいい。今言わなきゃ、多分一生この恋心は吐き出せない。
「私……涼真が好きっ」
涼真は、一瞬だけ掌で口元を覆ったが、すぐに私をぎゅっと抱きしめた。涼真のスウェットから石鹸のにおいがして、耳を澄ませばドクンドクンと駆け足のような鼓動が聞こえてくる。
「100回待ってやったんだからな、恋カレー」
「え?どうして、恋カレーのこと?」
「あ、恋カレーの話は小学校の時、果帆から聞いたんだ。好きな子から100回カレー作ってもらったら、その子が俺の事好きになるって。だから俺、香恋に100回カレー作ってもらって俺の事好きになって貰えたらなって」
「あれ?恋カレーは、ハート型の人参でカレー作って好きな人に100回食べてもらったら、自分の事好きになるって聞いたけど?」
私達は、顔を見合わせてながら首を傾げる。
「え?」
「あれ?」
そしてすぐに果帆の悪戯っ子のような、顔を思い出す。
「あー、マジか。果帆にやられた」
「何で気づかなかったんだろ、私、恋カレーの話、果帆からしか聞いたことない」
「だな。俺も」
私達は抱き合ったまま暫く笑い合うと、初めての触れるだけのキスをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます