第12話

いつもよりどことなく真面目なトーンの涼真にドキッとして私は背の高い涼真を見上げた。


「ふっ……ぶっさいく」


「な……何よっ、それ!」


 涼真は、ティッシュで私の目尻をそっと拭くと、形の良い唇を持ち上げた。


「そんなに俺の事好き?」


 思わず目を見開いた私を見ながら、涼真は私の頬に触れる。ずっと隣で見てた、見慣れた掌なのに、触れられた頬も顔もすぐに熱くなる。


「俺は香恋のカレーも香恋も好きだけど?」


(ん……? )


 涼真が歯を見せてケラケラ笑う。


「な、ダジャレみたいつーか、早口言葉みたいだよな」


「何よ、それ……」


 私は涼真に返事をしながら、さっきの涼真の言葉をもう一度頭の中に浮かべてみる。


(私のカレーも、私も好き?つまり……?)


「返事は?てゆーか、香恋が俺に作ってくれたの恋カレーじゃねぇの?」


「な……んで……それ……」


 私は夢でも見てるのだろうか?涼真が恋カレーを食べ終わって、私のことを好きだと言ってくれている。



──恋カレーのおまじないは本当だった?

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