第8話
私は立ち上がると、涼真の好きな甘口のルーを割り入れて煮たたせるとローリエを取り出し火を止めた。ハート型の人参は煮崩れすることなくアスパラの黄緑がカレーに彩りを添えて食欲がそそられる。
「ふぅ……いよいよ恋カレー100回目か……」
涼真が来る前から、心臓がドクドクと駆け足になってきて息苦しい。私は落ち着かせるように自分の胸に掌を当てた。
恋カレーのおまじないが、本当かどうか今日でわかる。でもそれと同時に、私の恋も終わってしまうのかもしれない。今の幼なじみの居心地の良さを失ってしまうのが怖くて、私は涼真に面と向かって告白することなんて、きっと一生できそうもないから。
でももし、この恋カレーのおまじないが叶って、100回目の恋カレーを食べた涼真が私の想いに気づいて、私に恋してくれたらどんなにいいだろう。そんな淡い思いと、複雑な感情が入り混じりながら時計を眺めたと同時にインターホンが鳴った。
──ピンポーン。
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