第7話
──ピロン
スマホのメッセージを告げる音に慌ててタップする。涼真からだ。
『部活終了。腹減った。シャワー浴びたらすぐいく』
(やばっ……)
『お疲れ様!またあとでね』
ウサギが手を振っているスタンプと共に返信すると、私は急いで野菜を鍋に全て放り込む。焼き色がつけば、すぐに鶏肉も入れて塩胡椒する。沸かしておいたポットのお湯を時短で鍋に注いでローリエの葉を折りたたむとそっと浮かべた。
「よしっ。あとは具材が柔らかくなればルー入れて完成っ」
グツグツと音が聞こえる鍋からは、ローリエの爽やかな匂いが漂い、炊きたてのご飯の匂いと混ざり合うと共に炊飯器からピーッと音がした。
私は、炊き上がったご飯をほぐすと、テーブルにランチョンマットとスプーンをセットして、ようやくダイニングテーブルに腰掛けた。
(恋カレーのおまじないか……)
私は肘をついたまま、チェストの上の涼真との写真を眺めた。生まれてすぐの写真から、小学校、中学校、高校の入学式と何枚も飾られた写真達の中で私の隣にはいつも涼真がいる。
いつからだろう。この気持ちが、ただの幼なじみじゃないことに気づいたのは。涼真に伝える勇気がないまま、こうして恋カレーのおまじないに頼る私はほんと臆病者だ。
果帆の言葉が頭を掠める。
(告白した方が早いのなんて……分かってる。でも……)
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