第6話

放課後、私は買い物袋をぶら下げて帰宅すると、すぐにエプロンをつけて台所に立った。リビングの時計は、17時すぎだ。サッカー部に所属している涼真が部活を終えて、家に戻りシャワーを浴びて家にくる時間を逆算すると1時間ほどしかない。


 私は、すぐにお鍋を取り出すと、まずは玉ねぎの皮を剥いて角切りにしていく。


「んー……目に滲みる」


 玉ねぎのせいで、涙目になりながらも、私は、彩りのアクセントであり、涼真の好きなアスパラの皮を丁寧に剥くと、レンジで芯の方を少しだけ加熱しておく。こうしておけば、アスパラをいれて煮込んだ時に、均一に熱が通りやすいような気がするからだ。


「さてと、ハート型と……」


私は、じゃがいもを切り水にさらすと、人参を洗い輪切りにする。ここは慎重にいかなければいけない。人参の輪切りを包丁でひとつひとつハート型に見えるようにかたどっていく。ハート型にするために出た細かい人参は、みじん切りにしておいた。野菜は残さず使いたい。冷蔵庫から鶏肉を取り出すと、皮を剥いで小さく纏めておく。そして、鶏肉を一口大に切り終わると、ようやく私はお鍋にオリーブオイルを垂らした。


「あ!ニンニク!」


 私は、冷蔵庫の片隅に鎮座していた、使いかけのニンニクを一欠片取り出すとみじん切りにして、オリーブオイルの入った鍋に纏めておいた鶏皮と共に火にかける。すぐにニンニクの香ばしい香りが鼻を掠めて、急激にお腹が空いてきた。

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