第6話
放課後、私は買い物袋をぶら下げて帰宅すると、すぐにエプロンをつけて台所に立った。リビングの時計は、17時すぎだ。サッカー部に所属している涼真が部活を終えて、家に戻りシャワーを浴びて家にくる時間を逆算すると1時間ほどしかない。
私は、すぐにお鍋を取り出すと、まずは玉ねぎの皮を剥いて角切りにしていく。
「んー……目に滲みる」
玉ねぎのせいで、涙目になりながらも、私は、彩りのアクセントであり、涼真の好きなアスパラの皮を丁寧に剥くと、レンジで芯の方を少しだけ加熱しておく。こうしておけば、アスパラをいれて煮込んだ時に、均一に熱が通りやすいような気がするからだ。
「さてと、ハート型と……」
私は、じゃがいもを切り水にさらすと、人参を洗い輪切りにする。ここは慎重にいかなければいけない。人参の輪切りを包丁でひとつひとつハート型に見えるようにかたどっていく。ハート型にするために出た細かい人参は、みじん切りにしておいた。野菜は残さず使いたい。冷蔵庫から鶏肉を取り出すと、皮を剥いで小さく纏めておく。そして、鶏肉を一口大に切り終わると、ようやく私はお鍋にオリーブオイルを垂らした。
「あ!ニンニク!」
私は、冷蔵庫の片隅に鎮座していた、使いかけのニンニクを一欠片取り出すとみじん切りにして、オリーブオイルの入った鍋に纏めておいた鶏皮と共に火にかける。すぐにニンニクの香ばしい香りが鼻を掠めて、急激にお腹が空いてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます