第5話
「もうさっさと告白しちゃえばいいのに」
「え! 無理っ!涼真に好きとか言って、今の関係ギクシャクしたくないし……でもかといって……」
昨日校舎裏で偶然見かけた、涼真とサッカー部のマネージャーの女の子の姿が蘇ってくる。
「かといって、とられたくないんでしょ? 」
果帆が、栗色のショートカットをさらりと靡かせながら耳にかけた。
「うん……涼真にさりげなく聞いたら次の試合の話だって言ってたけど……そんな雰囲気に見えなくて……」
「そっか。いやしかし、香恋もなかなか根性あるっていうか、慎重って言うかさー。アタシにできることはないけど、大丈夫!恋カレーのおまじない、うまくいくこと願ってるよ。ほら、笑って」
果帆は夜のことを思うと不安と緊張で俯きそうになった私の額を指先で弾きながら、にこりと微笑んだ。
「果帆ちゃん、ありがと」
「いいえ。どういたしまして」
チャイムと同時にガラリと扉が開き、数学教師が教師へと入ってくる。私は、雲ひとつない晴れ渡った青空に涼真を思い浮かべながら、大きく深呼吸した。
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