第4話

「あ、香恋おはよー」


果帆かほちゃん、おはよ」


果帆とは小学校からの友達で私の親友だ。果帆は私の前の席に座り、机脇のフックに鞄を掛けるとすぐに振り返った。


「その顔だと、涼真くんのリクエスト、カレーだったんだ?」


私は頬を染めながら、こくんと頷いた。


「果帆ちゃん、どうしよう……ついに今日で恋カレー100回目なの!」


「あー、マジか。アタシまで緊張するじゃん。恋カレーのおまじない、今まで試したことある子知らないからさー。だって、好きな人に100回カレー食べさせるってなかなか難しいよ。おまけに人参は、ハート型の人参じゃなきゃダメなんて難易度高すぎっ」


そう、果帆から聞いた話だが『恋カレー』は、私たちが生まれるずっと前から都市伝説のように受け継がれているおまじないらしく、女の子達の恋バナの中で一度は話題にあがるのが、この恋が叶う『恋カレー』のおまじないらしい。

 


 そして──この『恋カレー』の恋が叶う条件は全部で三つある。


 一つ目は、相手のことを考えて愛情たっぷりに手作りすること。


 二つ目は、恋カレーの中の人参の形はハート型であること。


 最後は、この恋カレーを意中の相手に100回食べさせること。


 この三つの条件を達成できた時、カレーを食べ終わると共に、目の前の意中の相手と両思いになれるらしい。


「そうだよね……私もまわりに試した人、誰も知らないもん。はぁ……いまから緊張してきちゃった」


果帆がクスクスと笑う。

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