第3話

「あ、涼真。今日の夜、涼真のおじさんとおばさんとうちの親、焼き鳥屋でお隣飲み会らしいよ」


「だな。大体さ、お隣飲み会って何なんだよなぁ?」


「だね、まぁ仲良いのはいいことだけど」


「まぁな。俺らは酒飲めねーから、毎度毎度お留守番だけどな」


 うちの両親と涼真の両親は、高校時代からの友人でいつも四人一緒だったらしい。それは社会人になっても結婚してからも変わらず、マイホームを建てる時には、互いに隣に建てようと約束をしていた両親達は、その約束通り隣同士に家を建てた。


 こうして気づけば、私の隣には幼い頃からずっと涼真がいた。


「てことで、晩飯難民なんで、夜いくからよろしくー」


涼真が、ニヤッと笑うと左耳のピアスを揺らした。


「てゆうか、メニューは? 」 


なんてことないように涼真に訊ねるが、この瞬間が私は涼真と話す中で、一番緊張する時かもしれない。


「そんなん、決まってんじゃん、香恋のカレー美味いから。あれ?なんか香恋のカレーってウケないダジャレみたいだな」


「何それ、涼真が勝手に言ってるだけじゃんっ。じゃあ、カレー作っとくね」 


「おう、宜しくな」 


 下足ホールにつけば、涼真とは別クラスだ。

上履きを履くと、一階のそれぞれの教室へと入っていく。私は自分の窓際の席に鞄を置くと、小さなため息を吐き出した。


(良かった……涼真のリクエストはいつも通りカレーだった)

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