第2話

今日も私は、お隣さんのアイツと玄関先で待ち合わせだ。


「おはよ、涼真りょうま


「はよ。香恋かれん


 柔らかそうな金髪頭をガシガシと掻きながら、幼なじみの加納涼真かのうりょうまが大きなあくびをした。


「ふぁあ。てゆうか、きょうの期末テスト、俺、欠点だわ」


「え? 受ける前からもう分かるの?」


「まあな。今まで俺言ってなかったけど、予知能力あるから」 


 涼真が、形の良い唇を片方だけ引き上げる。


「はいはい、言ってなよ」


「はぁ、信じてねぇんだな。ま、鈍臭くて鈍い田中たなかさん家の香恋には、一生わかんねぇかもね」


「何それ。別にどうでもいいけど」


 また私は涼真に嘘をついた。本当は涼真のことなら何だって知りたいし、涼真の言うことなら、どんなにあり得ないことだって信じたいって思ってるのに。


「可愛くねぇの」


 涼真は、両手を青空に伸ばして背中をうんと伸ばしてから両手をポケットに突っ込んだ。 


 私は涼真から顔を背けると、小さくため息を吐き出した。


(本当に予知能力があるなら、私の気持ちも予知能力で察して欲しいわよ……)


 物心ついたら時から、ずっと言えない思いを飲み込みながら、いつもこうやって学校までの道のりを、二人でどうでもいい話をしながら歩いていく。

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