なべて世はこともなし……


 溜まった鬱積が爆発し、取り返しのつかないことをしたある女性。

 その様子を女性の夫が目撃しており、一巻の終わりかと思われたが、彼はその過ちを優しく許す。

 そして話し出す。彼が「そういったこと」に優しさを抱くに至った経緯を……



 物語の底知れなさもさることながら、窮まった人間の心理が描かれた作品。

 手の打ちようもないほどに疲弊したとき、それは暗がりから人を招くのだろう。

 ここから先も生活は続くに違いない。なべて世はこともなし……