第4話 告白
確かに、奈津子の言うことは間違っていない。
別に俺達は付き合っていないし、奈津子が他の男とヤることに何の問題もない。
でも、やっぱり違うんだよ。
女は貞操を守るべきなんだ。
男は〝そういう生き物〟だからしょうがない。
でも女は〝そうじゃない〟だろ…?
女は、好きな相手じゃないとセックス出来ない生き物だろ?
そうでなければ、どうしてアイツは……。
それからというもの、俺達は何事もなかったかのように逢瀬を重ねた。
奈津子が本物の馬鹿なのか、それとも敢えて触れてこないのか、何も読み取れないので逆に俺の方が気まずい。
もう随分と作業的になってきた行為だが、
性的快感が得られるのは間違いないので抜け出せない。
行為が終わり、シャツを着て煙草に火を付ける。
穢らわしい手に触れられることを選択したのは他の誰でもないこの俺だが、
もう終わりにした方がいいことは薄々感じていた。
____「あのね、彼氏できた。」
それは本当に突然の報告だった。
「だからもう会えない。今までありがと。じゃね」
余りにも軽い別れの挨拶。
「!?おいおい…ちょっと待てよ。急過ぎないか。どこの誰だよ!」
「あんたに関係なくない?まぁまぁ長続きしたよね。気持ちよかったよサンキュー(笑)」
今までとはまるで別人のような態度に動揺を隠せず、つい本音を問い詰める。
「俺のこと好きって言ってきたのは嘘だったの?」
「嘘ってか…そう言った方が盛り上がるじゃん。そっちだってそうでしょ?」
「何度も付き合ってくれって懇願してきたのは?」
「それもやっぱムード作った方が興奮出来るし…」
「じゃあ…俺に身体を許したのは……」
「『俺のことが好きだから』って言わせたいの?
ごめんね、違うよ。確かに相談とか乗ってくれたり買い物に付き合ってくれたのは楽しかったよ。
でも最初から好きじゃない(笑)普通に性欲を満たすのが目的だよ。」
「えっ……。」
「たぶらかしてただけ。それが趣味なの。
今の彼氏とはあんたとこうなるより前から
ずっと身体の関係を続けてて、ついに告白されてようやく付き合えたって話!
学生時代からの片想いがやっと実って、今すっごく幸せ。
よく分かんないけど、私がパパ活してることに対してキレてきたのもウザかった。
でも沢山遊ばせてくれてありがとね!
とりあえずこれでもうお別れだから。じゃあ。」
あっという間に奈津子はいなくなった。
______
____
やっぱり、そうだったんだ。
女なんて、結局こうなんだ。
____俺が元カノと別れたのは奈津子とこういう関係になる一年前のことだった。
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