第5話契約

:銀の契約書!?


:鳴雀がそこまで!?


:銀契約って何?


:ギルドの最高待遇だよ 幹部待遇!


:ランキング20位のギルドが新人に銀契約!?


:ただの新人か?煉二槌だぞ!


:二槌ってwwネタ命名速すぎ


弾幕が騒然とする中、当の「二槌」こと煉は正志と揉めていた。


「差別だよ!僕にはビンタで、山口さんには花摘ませるなんて!」


「緊急時は臨機応変」


「言い訳!」


「助けたのは事実だ」


「でも尊厳を!」


「次は謝る」


「それで……」


「ごめん」


「……え?」


正志が顔を左に逸らした瞬間、煉の掌が炸裂する。


パン!


「痛てえ!」


煉はハンマーを構えるも、鎌の閃光が先に狼蛛を両断した。孟闖(田中)が武器を肩に乗せ、煉を嘲笑う。


「一人で目立ちやがって……ふん」



煉は沈黙を守ったが、頬に掌形を浮かべた正志が飛び出した。


「おい!その態度なんだよ!さっきの襲撃の時は逃げてたくせに!」


田中は新人の戯言を無視し、鎌を肩に乗せて先頭を歩く。煉が正志の腕を掴む。


「騒ぐな」


次のゲームシーンが近づいていた。弾幕が賑やかに流れる。


:田中と煉の因縁?


:単なる嫉妬では。


:煉の我慢強さに感心。


:田中の鎌捌きもプロ級だ。


:生存者全員スカウトの可能性もあるね。


隊列が二派に分裂した。山口と正志は煉派、名無し二人組が孟派。橋本は女同士の連帯感で煉側に。田村は中立を保つ。


小林兄弟が巧みに立ち回る。兄が孟派、弟が煉派に付きながら媚を売る。


「兄貴!鳴雀ギルドが契約提示してるぜ!」


「鳴雀?ギルドって?」


煉が首を傾げると、小林弟が腕時計型端末を差し出す。画面に映った煉の顔に弾幕が殺到した。


:煉神降臨!


:鳴雀入り確定!?


:死亡アングルでもイケメン


煉は金色に輝く【鳴雀ギルド】の公式弾幕に目を留める。高額投銭で最上部に固定されたメッセージが燦然と光っていた。


「了解」


煉が軽く頷くと、弾幕が爆発的に流れる。


:承諾!?


:速すぎる!


:鳴雀のスカウト眼が光る


小林弟が汗を拭いながら説明する。「ギルドってプレイヤーの互助組織で……訓練施設とか資金援助が……」


「ふーん」


「で、兄貴は鳴雀に入る?」


「鳴雀って?」


「……」


小林弟が虚脱した表情で路面を指差す。「……足元注意して。」



その頃、鳴雀ギルド副会長室では――


松冈が立体投影の戦闘記録に見入っていた。包帯を巻いた左腕が机を叩く。


「千咲煉……危険感知能力が尋常じゃない」


若手補佐が不服そうに唇を噛む。「あの態度!ギルドを舐めてますよ」


巻き髪の女性補佐・蘇海(そ かい)が爪先で回転椅子を叩く。「でも顔はいいわね。戦闘シーンも絵になる」


「蓉姉!外見で判断するなよ!」


「私は浅はよ」


松冈が突然立ち上がり、黒革のコートを羽織る。「1089区へ向かう。千咲煉がダンジョンから出た瞬間、真っ先に接触だ」

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