第4話
サラサラと音がしそうな長い髪の毛を揺らして、もう一度頭を上げた目の前の女の顔を見た
きっとハーフなのだろう
確信的にそう思わせるのは、女の髪の毛の色が人工的な茶色ではなく、生え際から毛先まで痛みを知らない綺麗に透ける栗色だったから
スッと伸びた鼻筋から分かれた長い睫毛に縁取られた大きな双眸(そうぼう)が、髪の毛と同じ薄い栗色だったから
不健康そうにさえ見えてしまう白い肌は東洋人でもなかなか見ることができない
そのわりに紅く色づいた形のいい薄い唇は、またもや人工的な色でも艶でもない
そんな風貌には似つかわしくない大和撫子風を匂わせているのは、女という生き物が得意である演技ではないことは、そういうことに対して人一倍敏感な自分がよくわかっている
『……』
「……」
不躾に見すぎたか
こんな自分でも驚いているのがわかった
女という性別から論外になった有馬から、創造することが仕事の自分でさえ想像することができなかった
久しぶりに面食らったことだけは素直に認める
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