第3話

ガチャ


重いドアが開く音がして、自然と上を見上げた

てっきり香織さんが出てくるものだと思っていたから


165cmある私、決して小さくないのに香織さんは上をいく173cmあるから


中性的な顔立ちの香織さんと街を歩くとカップルに間違えられることだって少なくない


そんなことよりも


『……』


「……」


香織さんよりもはるかに大きなクマさんみたなこの男性

横幅がないのにクマさんみたいだと思ってしまうのは、彼の顔が真っ黒な髪の毛とひげで覆い隠されていたから


私の周りにはなかなかいないヒト…


もしかしたら、クマ化したヒトが世間にはたくさんいるのかもしれない

私の周りなんて極少数だから

性別は雄なのに嫌悪感が感じられないのは、そのせい?


『…こ…ん…にちは』


目がどこについているかわからなかったけど、とりあえず、高い鼻筋は見えているのでそれを見ながら小さく頭を下げた


男性(雄)に自分からあいさつをしたのは、いつぶりのことだろう


相変わらず無表情ではあると思うけど

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