第一章漆黒の騎士目覚める。
龍は村長の家で話を聞いた。魔物は近くの森に巣を作り、村人たちを襲っているという。
村長の話によれば、普通の冒険者たちはその魔物に挑んだものの、誰一人として戻ってこなかったらしい。
「……なるほど。それで俺に期待するわけか。」
龍は一見冷静だったが、心の中では興奮していた。未知の世界の生態系、その最初の接触としての「魔物」。
どんな生物なのか、どんな特性を持つのか、彼の知的好奇心は止まらなかった。
「準備が整い次第、魔物を退治しに行く。ただし、報酬はしっかりもらう。」
村長はうなずき、村で手に入る食糧や必要な道具を龍に渡した。
龍は森へ向かう途中、漆黒の騎士に命令を下した。
「スキャンモードを起動し、周囲の環境を分析しろ。」
『了解。敵性反応を検知しました。距離500メートル。』
漆黒の騎士の冷静な声が響く。龍は口元を少し歪めた。
「初めての戦闘か……面白くなってきた。」
森の奥に進むと、そこには異形の生物が立ちはだかっていた。それはまるで狼と昆虫が融合したような姿で、体は黒い甲殻に覆われている。鋭い牙と無数の目が光り、威圧感を放っていた。
「なるほど、興味深い生物だ。」
龍はその姿に一切怯むことなく、分析を始めた。
「体表は硬化しているが、関節部分が脆そうだな。足の運動機構も単純化されている……。」
『攻撃を開始しますか?』
漆黒の騎士が問いかける。龍は静かに頷いた。
「目標を無力化しろ。ただし、致命傷は避けろ。解析が必要だ。」
『了解。』
漆黒の騎士はスムーズに動き出し、魔物に接近した。正確な攻撃で、あっという間に魔物を追い詰めていく。その間、龍は冷静に戦闘のデータを収集し、漆黒の騎士の動作に修正を指示していた。
「ふむ、思った通りだな。この生物は群れで行動する傾向があるはずだ……次、来るぞ。」
その言葉通り、さらに3体の魔物が現れた。しかし、漆黒の騎士はまるで計算されたような動きで敵を圧倒した。
魔物を討伐し、村へ戻った龍は、村人たちから英雄のように迎えられた。彼が冷静に報酬を要求すると、村長は感謝の印として村の秘宝を差し出した。それは、古代の魔法が込められた石だった。
「これは……?」
「それは『エルダイトの欠片』と呼ばれるものです。この地では神聖な力を秘めた石とされています。」
龍は石を手に取り、しばらく眺めた。
「面白い。これがこの世界の『魔法』の本質なのかもしれないな。」
漆黒の騎士が解析を開始し、その結果を報告する。
『エネルギー源として使用可能です。さらに性能向上が期待されます。』
「なるほど……これで漆黒の騎士をさらに強化できる。」
龍は不敵に笑みを浮かべた。この世界で生き抜くための武器を手に入れたのだから。
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