第24話
6、仄かに恋をしている
------------------------------------
閉店時間10分前、ダークブラウンの分厚いドアが鈍い音を立ててゆっくりと開いた。
「いらっしゃいませ」
「.....ごめんなさい、もう遅いかな?」
「いいえ、大丈夫ですよ。
夏南さんならいつでも大歓迎です」
遠慮がちに顔を覗かせた夏南に、バーテンダーは人懐っこい笑みで彼女を迎え入れた。
彼女がこんな時間に来るのは珍しい、いつもは艶やかな髪を真っ直ぐに下ろしているのに、今日は無造作に束ねただけ、それも彼女らしくない。
何かあったな?と察したバーテンダーは、夏南のオーダーを聞かずに頭の中で浮かんだカクテルを無言で創り始めた。
「ネバダです、どうぞ」
夏南の前に差し出されたカクテルグラスには、黄金色の美しい液体が入っている。
引き寄せられるように口を付けると爽やかな酸味の後に、ほろ苦さが広がった。
「....美味しい」
「ラムベースにグレープフルーツジュース、アンゴスチュラ・ビター。失恋の苦さにぴったりだと思います」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます