第15話
危ないっていっても、人通りはそこそこあるし、駅まで歩いて5分ほどだし。
いいです、って断るわたしに、蒼井さんは首を縦に振らない。
結局、駅まで送って貰うことになり3人横並びで歩いているところ、紗由理のスマホに着信を知らせる音楽が鳴り出した。
「もしもし~?あ、お爺様?
うん....うん....平気だよ?明日の親睦会には参加するよ、え?.....あー、うん、分かった」
紗由理の声は徐々に小さくなり不機嫌になる。そして膨れっ面のまま、目の前を通り掛かったタクシーを止めた。
「今すぐ帰って来いだって、親睦会なんてウザすぎる」
拗ねたように唇を尖らせて甘えた声を出す紗由理の頭を、蒼井さんは優しい手付きで撫でた。
「仕方ないよ、紗由理は跡取りなんだから」
一般社員としてうちの社に入社した紗由理が、実が我社の時期後継者だということを知っている人間は少ない。
特に親しいわたしにだけ、こっそりと教えてくれたけど、同じ同期の景子は知らない。
けど、お付き合いして1ヶ月の蒼井さんは知っているんだ。
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