第9話
わたしの心の中に魔女が住み着いたのは、いつ頃だろう?もれなくセットとして天使も付いてきた。
....なんて、話は横に置いておいて。
「じゃぁ頼んだからね」そう言い残し更衣室から風と共に去って行く紗由理を唖然と見つめている。その後ろから怨念のこもった声が聞こえた。
「行くの?その店」
のわっ!.....びっくりした。
この声、この話し方、そしてこの登場の仕方......もうひとりの同期、景子だ。
「行きたくないけど.....」
「いいじゃん行けば?本家が頼んでるんだから」
「そうだけど」
景子まで魔女と同じことを言ってんじゃないよ!っと恨ましげな視線を送ったけど、
「くそ羨ましいね、蒼井さんとデートだなんて」
人の気持ちなんか、ましてや空気でさえ読もうとしない景子は、声をワントーン落としてわたしの耳元に口を寄せた。
「ここだけの話し、最近上手くいってないらしいよ、紗由理と蒼井さん」
「....誰が言ってたの?」
「社内でもっぱらの噂、なぁーんか紗由理の方が蒼井さんを避けてるって!贅沢ものだよね?あいつ」
上手くいっていない、か。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます