第4話

パーキングエリアで足を止める人はそれぞれで、いかにもこれからお出かけします!といったウキウキムードが漂っている人から、お仕事なのかお疲れ気味の人もいる。



人間観察するのにこれほど面白い場所はなく、割と気に入っている仕事だけど、自分を観察されるのは好きじゃない。




「お姉さん、可愛いね!アドレス教えてよ」




なんて直接的に言ってくる人から、電話番号を書いたメモをこっそりと落としていく人まで。



ちなみにこういうあからさまなナンパはカウントせず、純粋にぽわんと微笑んで好意を向けてくれた人だけ。男女は問わない。



ってのが、わたし達のルール。




「で?どうするの?彼氏」


「うーん、そうだねぇ」


「その後の連絡は?」


「だめ、スマホの電源切ってるみたい」


「はぁ……面倒くさい男だね。もうさ、こっちから捨ててやれば?」




まるで物を捨てるかのように言う菜緒ちゃんは彼女にベタ惚れの彼氏が1人。彼氏予備生が3人。



予備生ってなんだよ!って言いたいところだけど、まぁ、補欠のようなものだってさ。




「いらっしゃいませ!今日はお出かけですか?安全運転で楽しんで来てくださいね」




にっこりと相手の目を見ながら微笑み、小首を傾げるのも忘れない。



"小悪魔の教え"なんて本を書いたらベストセラーになるんじゃないかと思うくらい、彼女はテクニシャンでモテる。

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