第5話
そんな菜緒ちゃん曰く、わたしが遠恋の彼氏に執着するのが謎らしい。
執着なんてしてるつもりもないけど?っと返したけど、遠恋になった時点でそれは彼氏じゃなく、予備生なんだって。
つまり、こっちはこっちで新しい彼氏を補充しろってこと。
そんな器用なことが出来るか……!って思うけど、じゃぁその彼氏で満足出来るのかって言われたら答えられない。
それは向こうも同じらしく、何かの折につけて「別れたい」ってメールがやってくるんだ。
大抵は、さっき菜緒ちゃんが言った通り、わたしの気を引きたいだけの狂言なんだけど。
そのたびに、モヤモヤムカムカする。
「どこがいいの?その彼氏。顔?」
「うーん」
「性格?じゃないよね?根暗だもんね。あ、体の相性?……でもないか、ヤッてないもんね」
おーい、菜緒ちゃん?
可愛い顔して暴言吐くのは、やめろ。
「わかちゃんってさ、その気になればモテるじゃん?自分で自覚してるでしょ?勿体ないよ、そんな幽霊部員のような彼氏じゃ」
「幽霊……?」
「普通のクラブチームだったら、例えエース級の腕を持っていたとしても、補欠と交換させられてるって話」
「分かったような……?分かんないような?」
「あ、待って。超タイプな人が入って来た」
朝10時を過ぎると少しずつ忙しくなり始め、無駄話というお喋りが出来なくなる。
レジカウンターの下に隠したメモ用をお互い無言で線を書き足しつつ、しばらく仕事に没頭した。
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