第3話

「あーぁ、今のお客さん、わかちゃんに惚れたね」


「お、今のもカウントしてくれるの?」


「だってさ、わざわざわかちゃんが居る前まで来て言ったじゃん。それに珈琲淹れてる間、わかちゃんをガン見してたよ」




わたしの方が近くに居たのにさぁー、と菜緒ちゃんは眉根を顰めながらメモ用紙に正の字のー本を書いた。



「今日も、わたしが頂きますよ」



"わか"と書かれたところにちゃんと線を引いているか確認しながらニヤリと笑う。



15戦8勝7敗という、ややわたしが勝っているその勝負に、菜緒ちゃんは目をギラつかせた。




「なぬ?負けるもんか」


「傷心なんだから負けてよ」


「やーだね、勝負に手加減は出来ぬ」


「まぁ、負けないけど」





東名高速新城パーキングエリア(下り線)静岡と愛知の県境にあるここは、一般道からの出入口もあり、土日なんかはそれなりに人足がある。



けれど、平日は比較的にゆっくりとしており、わたしはここのコンビニストアで働いている。



同僚の菜緒ちゃんとは働き始めてからすぐに仲良くなり、今では接客中にお客さんからニッコリと微笑み返される回数を賭ける仲。



賭けの勝利品は、最近2人の間でブームになっているチョコキャラメルっていうから、可愛いでしょ?

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