第3話

「その様子だと、昨日の記憶は全部無いんだ?」


「まぁ……」


「じゃぁ、ここで何をしたかも?」


「……想像は付くけどね」


「そういうの男としてはショックなんだけど」




そんなこと言われてもね。


酔った勢いでしてしまった床事情なんて覚えてないのが普通で、むしろ覚えていたとしても、忘れたふりをするのが、思いやりってものじゃないの?


というか、この"子"……、




「もう1回したら思い出すかな?」


「あ、ちょっと」


「いつまでもそんなエロい恰好してるお姉さんが悪い」


「それはっ!」




そっち同様、私も裸なわけで。


服を着たかったけど、手の届く範囲には何もなくて。


シーツを体に巻き付けて何とか凌いでいる私に、彼は遠慮なく覆いかぶさって来る。


その不躾さにペチンと頭を叩き、やめなさい、と、こちらも遠慮なく膝で蹴りあげた。




「痛ってぇ」


「それ以上何かしたら警察呼ぶからね」


「えー、酷くない?」


「酷くない」


「てか、その場合捕まるのそっちじゃない?」


「っな」




思わず絶句した私に、彼はにっこりと無邪気に笑う。


その幼さの残る顔は、どう見ても10代だった。

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