第22話

― ― ―***― ― ―






目印は確か青色のハイビームライトだったと思う。



繁華街から少し抜けた国道沿いにあるコンビニで、それらしい車が来るのをじっと待つ。



電話の第一声は「ふざけんなよ」だった。不機嫌さを隠さない声、吐き出す溜息。それでも、最後には「……どうした?」と聞いてくれた。




(来た……っ)




嬉しさと同時に不安で胸がいっぱいになる。わたしはそれらの感情がばれないように冷静なフリを装って、黒色のスポーツカーに乗り込んだ。



運転席に座る男は、わたしの方をチラリとも向かない。




「……困った時にだけ頼るんだな」


「しょうがないじゃん、他に居ないし」


「俺はお前のお守りじゃねぇーぞ」




シートベルトを締めたと同時に車は走り出す。濃い色のサングラスを掛けている彼は小さく舌打ちをした。




「そんな冷たいこと言わないでよ、響(ヒビキ)」


「名前で呼ぶな」


「……意地悪」


「癖になったらどうするんだ?」


「もうなってる」


「じゃぁ、今すぐ直せ」




優しさの欠片も無い声。


でも、わたしはこの男以外に信用している人は居ない。



―――死ぬほど、キライだけど。




「分かった直せばいいんでしょ?綾戸先生」

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