第22話
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目印は確か青色のハイビームライトだったと思う。
繁華街から少し抜けた国道沿いにあるコンビニで、それらしい車が来るのをじっと待つ。
電話の第一声は「ふざけんなよ」だった。不機嫌さを隠さない声、吐き出す溜息。それでも、最後には「……どうした?」と聞いてくれた。
(来た……っ)
嬉しさと同時に不安で胸がいっぱいになる。わたしはそれらの感情がばれないように冷静なフリを装って、黒色のスポーツカーに乗り込んだ。
運転席に座る男は、わたしの方をチラリとも向かない。
「……困った時にだけ頼るんだな」
「しょうがないじゃん、他に居ないし」
「俺はお前のお守りじゃねぇーぞ」
シートベルトを締めたと同時に車は走り出す。濃い色のサングラスを掛けている彼は小さく舌打ちをした。
「そんな冷たいこと言わないでよ、響(ヒビキ)」
「名前で呼ぶな」
「……意地悪」
「癖になったらどうするんだ?」
「もうなってる」
「じゃぁ、今すぐ直せ」
優しさの欠片も無い声。
でも、わたしはこの男以外に信用している人は居ない。
―――死ぬほど、キライだけど。
「分かった直せばいいんでしょ?綾戸先生」
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