第21話

何をやっているんだろう?


何をここまで熱くなっているんだろう?




ヒリヒリとする右の掌が、じんわりと痛む。



わたしに叩かれて怒鳴り返され、唖然とする凌。


「やっちゃったね」と顔を顰めるなっち。迷惑そうに事の成り行きを見ていた傍観者たち。



わたしはそのままクラブを飛び出して、繁華街の中を縫うように歩いた。




(何をしても誰といても苛立つ)




ポケットの中に捻じ込んでいたスマホを取り出し、画面をタッチする。




(結局自分は何をしたいのか、どうすれば満たされるのか分からない)




電話帳の中から、滅多に掛けない名前を選び出し通話ボタンを押す。




(夜の繁華街は好きだった、中身のない空っぽの自分でも受け入れてくれると思ったから)




スマホを耳に当て、コール音が鳴る回数を数える。1回2回……数が増える度に心臓の音が大きくなった。




(お願い、出て!)

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