第8話

ひらり、ひらひらと、


何の花だか知らないけど、薄桃色の花びら木のうえから舞い踊る。



ブラウスにベスト、ストライプのネクタイ。もう少し冬服のままでいようか?それとも夏服へシフトしようか?悩むこの季節。お洒落で可愛いと県内で有名な制服も、夏服となると可愛さが半減する。



ポロシャツとチェックのスカートだけ。オリジナルテイーがなく、他校との区別もあまりつかない。



けど、それくらいの方が身軽でわたしは好き。



夏服を着るのは今年が最後で、再び冬服を着る頃には、"受験"という名の戦争に疲れ果てているだろう。




『望月(モチヅキ)なら大丈夫、推薦でいい大学に入れるぞ』




と、言うのが進路指導の先生。




『望月、今のままだと後で苦労するぞ』



そう、難色を示すのが綾戸先生。




そりゃそうだ。

あれだけの点数を取り続けたら、受験に関係ないといっても、良い気はしないだろう。




―――わたしは綾戸先生が嫌い。





綾戸先生の"化学"だけは、35点以上を取らない。



それ以外の"全科目"は、80点以下を取らない。



そんなことを続けて、もう3年目になる。

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