第4話

"友達"と、"親友"

なにを持ってどこで分けるのかが、わからない。



知り合っていきなり親友になるわけないから、友達からある程度経って進級するものなんだよね?



何でも言い合える仲になったら?

秘密を共有しあったら?

気を遣わないで済むようになったら……?



そのどれもが"親友"という言葉で縛り、「裏切るなよ」と言われているようで、窮屈だ。




「ねぇねぇ、澪」


「んー?」


「綾戸(アヤト)先生、なんの用事だったの?」


「あぁ……まぁ、進路のことで少し」


「進路?悩んでいるの?でも、どうして綾戸先生に?担任じゃないじゃん」




しまった、嘘を付くチョイスを間違えた。



そう思ったのは時遅し。

心配そうに瞳を潤ませた美和が、わたしの腕を掴んで立ち止まった。




「澪ってさぁ、いつも隠し事するじゃん?何かあっても言わないし、自分で解決しちゃうし。でも、そういうの親友として寂しいよ」


「美和、」


「ねぇ、頼りにならないかもしれないけど、話くらいなら聞いてあげれるし、一緒に悩めるよ?だからさ、困った時は相談してね」




……じゃぁ、聞くけど。


何かあったとして、美和に話して何かなるわけ?解決できるようなアドバイスをしてくれるわけ?


一緒に悩んで一緒に苦しんでいるフリをして、本当は"親友の為に頑張っているわたし"を、アピールしたいだけなんじゃないの?




「ありがとう、美和。何かあったらすぐに言うね」




ただ、その本音は言わない。


わたしはすっごく性格が捻くれている。

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