第4章「心の距離を縮めて」②

その後、二人はレストランを後にし、夜の街を歩きながら再び会話を続ける。夜風が心地よく、静かな夜道での会話は、二人の心をさらに近づけていた。


「今日は本当に楽しかったです。」沙音がふとつぶやくと、拓磨はその言葉にうれしそうに答える。


「僕もだよ、沙音とこうして過ごす時間が、すごく大切だって思ってる。」


その言葉に、沙音は少しだけ驚く。拓磨の言葉が、本当に真剣だということが伝わってきて、彼女は少しだけ動揺した。


「でも、私…。」沙音は少し言葉を止める。「私は拓磨さんの気持ちに応えることができるのか、少し怖くて。」


拓磨は歩みを止めて沙音を見つめる。「怖いって、どういうこと?」


沙音は少し考え、やっと口を開く。「私、まだ自分の気持ちがうまく整理できていなくて…拓磨さんの優しさに、どうしても頼りすぎてしまうんじゃないかって、怖いんです。」


拓磨は静かにその言葉を聞いた後、ふっと笑顔を見せる。「沙音、無理に自分の気持ちを整理しなくてもいいんだよ。僕は、君がどう感じるかに寄り添うつもりだから、焦らないで。」


その言葉に、沙音は心の中で温かさを感じ、少しずつ拓磨への信頼が深まっていくのを感じた。自分の気持ちに正直になろうとするその瞬間、二人の関係はまた一歩進んだように思えた。


その後、二人はそのまま並んで歩きながら、静かな夜を楽しんだ。心の中で少しずつ変わり始めた気持ちに気づきながら。

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