翌週、拓磨と沙音は再びカフェで待ち合わせた。今回は、沙音が提案したレストランに行くことになり、二人は少し特別な時間を過ごすことを楽しみにしていた。沙音は少し緊張しながらも、拓磨との約束に胸を躍らせていた。自分がどこかで拓磨ともっと親しくなりたいと思っていることに気づいていて、その気持ちをどう表現していいのか分からなかった。

「今日はちょっと高級なレストランに行こうって思ってるんだけど、気に入ってもらえるかな？」沙音が少しドキドキしながら言う。

拓磨はその言葉を聞いて、すぐに微笑む。「もちろん！楽しみにしてるよ。」

沙音はその微笑みに少し安心したが、同時に心の中で少しだけ戸惑いを感じる。「拓磨さんって、いつも前向きだし、あまりにも完璧で…私はそれにちょっと圧倒されてしまうことがあるんです。」

拓磨はその言葉に驚き、少し目を見開く。「そんなふうに思ってたんだ…。でも、僕もただ素直に君に優しくしてるだけだよ。」

沙音はその言葉に少し驚くが、同時に心が温かくなるのを感じた。拓磨が言う「素直に優しくしている」というその言葉が、沙音にとってはとても大きな意味を持つものだと感じたからだ。

レストランに到着した二人は、静かな雰囲気の中で食事を楽しみながら、自然とお互いのことをもっと知ろうとする。沙音は少しずつ心を開いて、拓磨に自分の考えや過去のことを話すようになった。

「実は、私、昔はちょっと冷たい人間だったんです。人に心を開くのが怖くて、どうしても自分の感情を隠してしまって…。でも、拓磨さんと出会ってから、少しずつ心を開けるようになった気がする。」沙音は恥ずかしそうに言う。

拓磨は静かにその話を聞き、ふっと笑う。「それだけでもすごいよ。人って、簡単には心を開けないものだからね。」

沙音はその言葉に心を温かく感じるが、同時に自分の気持ちをどう整理すべきか分からない。拓磨がどんどん自分に優しく接してくれる中で、沙音はどこかでこの関係が進んでいくことを恐れていた。

「拓磨さん…、私はまだ自分の気持ちがよく分からないんです。」沙音は思わず口に出してしまう。

拓磨はその言葉を静かに受け止め、「無理に答えを出さなくていいよ。僕もまだ、沙音の気持ちをちゃんと理解してるわけじゃないけど、君と一緒にいる時間が楽しいってことだけは確かだよ。」と言う。

その言葉に、沙音の心は少し軽くなった。拓磨は自分に無理をさせない、そんな優しさを持っていることが分かり、彼女は少しずつその心地よさに包まれていった。