再会
わたしは着信を受けた。
友達からだった。
「もしもし、〇〇くんいなくなってもう3年経つけど元気してる?」
実に唐突だった、、、、
わたしは手短に近況を話した。
黒猫の話は伏せて。
友達と話してたことでわたしの気持ちは決まった。
逢いたい大切な人に逢うことにした。
前に黒猫に遭った場所に行く…
「あの、すみません。この間の黒猫さんいらっしゃいませんか?」
「やっと、心が決まったの?鮭用意した?」
忘れていた。
鮭のことなどすっかり。
忘れていたとは言えないけれど用意をしていない。
「今日は持ってくるのを忘れました」
苦し紛れの言い訳である。
「まあ、いいわ!誰に逢いたいの?」
「わたしが心から大切に想っている人に逢いたいです」
「わかったわ!鮭忘れないでね。
いつ逢いたい?」
「26日が月命日なので、26日に逢いたいです」
「わかった。それまでに鮭用意してちょうだいね」
「わかりました。では26日までに鮭用意します」
わたしの気持ちに揺るぎはなかった。
わたしがこの3年間どんな気持ちで過ごしたか話してやろう。
泣いたっていい。
文句言ったっていい。
目の前から消えたのは『あいつ』なのだから。
…
26日になった。
鮭を抜かりなく用意してとびきりのおしゃれをして挑んだ。
「鮭を用意しました。」
「ありがとう。さっそく…逢いに行く?」
「はい、よろしくお願いします」
「わかったわ、いい旅を…」
わたしは身体がふわっとするのがわかった。
…
目の前にずっと恋焦がれていた彼がいた。
「久しぶり。」
久しぶり?
まるで逢いにくるのを知っていたかのように普通に今まで変わらず挨拶されたことに拍子抜けしたわたし。
泣き叫ぶわけでもなく、責めるわけでもなく
ただ普通にそこに変わらない笑顔があることが『シアワセ』だった。
黒猫に1度きり、たった一度きり逢えると聞いていたがいつまでなのか聞いていなかった。
地上よりゆっくり時間が進むような気がした。
「俺たち、やり直さない?」
まさに唐突だった。
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