第3話

何とかしてくれよって頭を抱える俺の向かいで、今度はイカのゲソを並べ始めたこの女の名前は、ふわこ。


ふわふわふわふわしてっから、ふわこ。


毎度、男に振られるたび俺を呼び出してぐちぐち愚痴るのが恒例と化してるクソ女だ。(しかも大抵、俺のおごり)




「で? 今回フラれた理由は?」


「それがねぇ、どうやら他に女がいたみたい」


「二股かよ」


「しかも、あっちは結婚してたんだって」


「ゲス不倫かよ、流行りだな」


「週末はいつも忙しいって言ってたのに、本当は家族と過ごしていたなんて……」


「まじかよ、てかその段階で気づけよ」


「ダーリンアイラービュ、どうしてもぉ~口に出せーない~願いがあるーのよ~♪」


「土曜の夜と~日曜のあなたがいつもー欲しいから~♪ って急に歌うなよ、やらせるなよ」




恋におちて fall in love かよ。


小林●子かよ、今の若者しらねぇーぞ。




「ったく」


「でへへ、いつも乗ってくれるふとっちゃん好きだよぉ」


「とにかく、不倫はやめとけ。別れて正解だ」


「そうだねぇ、うん! やめる!」


「おう、やめちまえ」


「やめる! やめる! 人間やめる! だって、好きだったもぉーん、剛いいいいいいいいいい、どーして結婚してるのおおおお」




うわぁ、面倒くせぇ。

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