第6話 接触
………止めろ………
「う、う~ん」
………ナ……を……止めろ
「……はっ!」
頭の中に響き続ける謎の声により、イサトは目を覚ました。
「……あれ、俺は一体、何を?」
「キュキュー!!」
「カバンッ!!」
最初に目にしたのは、共に行動していた、相棒の
「お前も無事だったのか、良かった」
「キュキュ~!」
イサトはカバンが無事だと安堵した後、周囲を見回す。其処は、彼が異世界に来た最初の夜、出会ったばかりのカバンと共に寝泊まりした、教会のホールだった。彼は自分の身に何が起きたのか思い出す。
「……そうだ。俺、オオサンショウウオの
自分が世界最大の両生類と酷似した
「へっ、嘘だろ!? あの時、強烈な攻撃を受けた筈、傷痕が何処にも……?」
「あっ、良かった! 目が覚めたんですね」
「ッ!」
女性らしき声を耳にし、視線を向けると、頭部に二つの角を生やした赤茶色のポニーテールの少女が居た。
「だ、誰ですか!?」
「あっ! あまり動かないで下さい!」
立ち上がった彼を、彼女は心配するように声を掛けた。
「体の具合はどうですか? 何処か痛みますか?」
「あ、いえ、痛みはありませんが、貴女は?」
「あ、申し遅れました。私は【ハーフドラゴム】の『アカリ』と申します」
「ハーフ……ドラゴム?」
アカリという赤茶ポニーテールの少女は、自身を【ハーフドラゴム】と名乗った。名前からして、彼女は【
【
・
・全身に並みの武器を防ぐ竜鱗を纏っており、竜の角・翼・尻尾を有している
・炎の息を吐くことが可能
生の竜人に生まれて初めて対面したイサトは歓喜しそうになるが、相手に失礼になると思い、心の奥底に仕舞い込んだ。
「は、初めまして、自分は結城イサトといいます。えっと、貴女がオオサンショウウオの
「えっ!? あ、はい、そうです。といっても、私だけじゃなく、二人の姉と協力して討伐しました」
「姉、二人?」
「ちょっとアカリ、彼の様子見に何時まで掛かっているの?」
「心配になって見に来たよ~」
「あっ、アオリ姉さん! ミドリ姉さん!」
後ろから近付いてきた二人の女性を、アカリは姉さんと呼ぶ。彼女達は姉妹のようだった。
一人目は、青色の長髪・両頬に爬虫類特有の青色の鱗を持つスレンダー体型の眼鏡の女性。
二人目は、緑色の短髪・臀部に緑色の竜の尻尾を持つ、グラマー体型の女性。
「紹介しますね。私と同じ
「どうもこんにちは~。私が次女の『ミドリ』です~」
「長女の『アオリ』よ。以後よろしく」
「初めまして、自分は結城イサトといいます。助けていただき、ありがとうございました」
「いえいえ、大した事ないですよ~」
次女のミドリは友好的に挨拶してきたが、長女のアオリは少々警戒している様子で挨拶をした。イサトは改めて、半竜人の三姉妹に感謝を伝えた。その時……
(グゥゥゥーーー)
「…あ」
「「「……?」」」
安心感を得たのか、イサトはうっかり腹の虫を鳴らしてしまった。
「すいません、昨日の夜から果物しか口にしてなくて……」
「ちょうど今、スープが出来上がったので、良かったら、御馳走になりますか?」
「ッ! いただきます!!」
「キューーー!!」
空腹状態のイサトを見て、アカリは二人の姉と協力して作ったスープを御馳走させてあげると誘ってきた。彼とカバンは有難く承諾した。
「その前に、先ずは血だらけの衣服をどうにかしたら」
「あ……」
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