第4話 変わりゆく娘

 最終的には娘はミンチーを学校に持っていき、一緒に勉強をさせるとまで言いだした。ぬいぐるみを家でかわいがるぐらいなら許容はできるが、さすがに学校に持っていくことはそれができなかった。だから、私と妻は娘としっかりとミンチーについて話をする場を設けようと決心したのだ。

「なあ、ゆみ、お前がミンチーを好きなのは別に悪いことじゃないけれど、学校に持っていくのはだめだと思うよ。学校は勉強しに行くところだからさ。それに、ぬいぐるみを持っていくと、皆に変な目で見られるよ。」この時、私は娘はわかってくれると思っていたが、娘は強い抵抗を示してきた。「嫌だ、ミンチーがいないと私絶対に嫌だ。ミンチーは私を守ってくれるのよ!学校の友達よりもミンチーが大事なの!お父さんとお母さんは何もわかっていない!」

 娘の言葉を聞いて、溢れ出す娘の異常さを感じながら、私はできるだけ感情を抑えて、彼女の説得を淡々と続けた。「でもな、ミンチーよりも学校の友だちやお父さん、お母さんの方がお前のことをわかっているし、ミンチーは動かないし、困った時にゆみちゃんを助けてくれないよ。」妻の言葉を聞いて、娘は顔を真っ赤にして、大粒のナミダを流しだした。そして、「ありえない!!」と一言叫んで、娘はミンチーを抱え自分の部屋に逃げるように駆け込んでいった。私と妻は困り果て、その場でこれからどうしたらよいか話し合った。「あのぬいぐるみをもう、ゆみの目の前から消してしまうのはどうかしら?なくなって、最初の方はあの子荒れると思うけれど、そこを私達がこらえれば、ぬいぐるみを忘れて、また昔みたいに戻ってくれるんじゃない?」

  

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