第3話 ミンチーにはまる娘
ミンチーが家に来て以来、娘はそれを相当気に入ったのか、それを片時も離さずにとても大切にしていた。そして、娘はミンチーにどっぷりとハマっていったのだ。そんな娘を見て、ミンチーが気に入ってもらえて良かったという気持ちだった。しかし、その反面、次第にそのハマりっぷりに少し違和感も感じるようになっていった。ミンチーと一緒にいる時の彼女の様子はどこか一人の世界にどっぷり浸かっているようで、少し非人間的な感じがした。また、ミンチーと一緒にいる時はとても穏やかな顔をしているのに、ミンチーと離れた途端、表情がこわばり、どこか焦りを見せだすのだ。とはいえ、そんな彼女もぬいぐりみなどすぐに飽きるだろうと思い、私達夫婦はあまり、ミンチーのことで娘のことをネガティブには考えないようにしていた。しかし、それができないぐらいに、彼女はミンチーへの接し方を異常な方向にエスカレートさせていくのであった。
ある日の晩御飯での出来事、ミンチーを食卓に並べていた娘に対して私はそれを注意した。すると、娘は私に見せたことのない怒りの眼差しを向けては、こう暴言を吐いてきたのだ。「何いってんだよ、ミンチーがかわいそうだろ。ミンチーは家族なんだよ、一緒にご飯食べて何が悪いんだよ!!」その時は本当に夫婦ともどもショックを受けた。また、違う日には、ミンチーが汚れていたのでそれを洗おうとした母に向かって、娘が思いっきり、殴りかかってきたこともあった。妻いわく、その時の娘はなにかに取り憑かれたかのように必死な顔でミンチーを取り戻そうとしてきたそうだ。
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