作りこまれた世界観。美しく紡がれる魔法のような物語。
- ★★★ Excellent!!!
本作の持ち味は何と言っても、その圧倒的な情景描写にあります。鯨の遺骸の上に作られた街や千の塔が立ち並ぶ街、そしてそれらの細部に至るまで事細かに描写され、美しさと気品を感じさせる世界。
そんな美の中を生きる人々の姿もまた美しく、生き方も様々です。そして、彼女らの人生が関わり合って展開されるストーリー。まさに作者様のキャッチコピーに違わず、過去が重なり未来を創る、といった趣で群像劇と呼ぶに相応しい内容でした。
また物語の合間に語られる魔法の設定も心躍るものではないでしょうか。複雑に組み上げられ一つの学問体系であることを感じずにはいられないソレ(作中において論理に基づくモノであることは側面はいっそSF的ですらある)が、物語へのひいては世界への没入感を高めるのに大いに役割を果たしてくれます。歴史という物語では全ては語られない先人たちの歩み、これも巡る過去の一部なのでしょうか?
私の拝読させていただいたACT1まででは『過去』という言葉の比重が大きかったと記憶していますが、これからの物語で『未来』という言葉にどのような意味が与えられるのか、楽しみにさせていただきます。
それでは皆さんもこの壮大で美麗な物語を一読してみてはいかがでしょうか?