曲者二人の旅路の行く末が気になる良作です!

 義理堅いけどお世辞にも性格が良いとは言えない二人の旅の手記という趣で描かれる本作。バディものに近い雰囲気で、二人の掛け合いが何よりの魅力であり、皮肉交じりで交わされる友情が小気味良くて夢中で読んでしまいました。いやぁ、やはり男同士の友人関係も良いものだ。

 また、そんな二人の人間関係と並行して描かれる世界の有様も魅力的です。作中では魔法薬を調合するシーンがいくつか出てくるのですが、そのシーンの真に迫った様子が異世界を感じさせてくれます。他にも、主人公の一人であり語り部のナプティアの専門である薬学以外にもあの世界における魔法とはいかなるものかをしっかり語ってくれて、重厚な世界観に偽りなし!

 あとは個人的な好みの話ですが、こういう手記形式の物語は整理された情報を語りながらも感情が滲んでるのが大好物なので満足感が高かったです。小説の中でも大正ごろの文学作品を読んでいる気分になったり……。

 そんな本作、ぜひ皆さんもご一読しては如何でしょうか?

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